喫煙者は肺疾患がつきもの!健康診断で異常なしでも油断は禁物!

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喫煙者の半数以上に異常アリ!

喫煙者にとって健康診断の結果を見るのはいつでもドキドキの瞬間だったりしますが、たいていは、異常なしの結果を目にして事なきを得ることになるでしょう。もちろん健康診断の結果に記載される異常なしの4文字を目にすれば、とりあえずホッとすることにはなると思います。しかし、喫煙者の場合、健康診断の結果で異常なしであったとしても、実は油断することができないのです。

健康診断というのは、たとえ何らかの疾患があったとしても、治療の緊急を要するような表面化した疾患しか判定できないレベルであるケースが大半です。そのため、肺喫煙によって常々肺に負荷を与えていると、文字通りの異常なしというわけにはいかないこともけっこうあります。

健康診断で異常なしの結果を得た喫煙者に対し、さらに詳細な検査を実施してみると、実に、その半数以上の人の肺などの呼吸器系器官に何らかの疾患があるということが調査によってわかってきているのです。しかも、現在喫煙者である人だけではなく、過去に一定期間以上の喫煙経験がある人の呼吸器にも、健康診断で異常なしの結果でありながら、いろいろな異常(疾患)が潜んでいるケースが多いといわれています。

喫煙(経験)者にとっての最大の脅威はCOPD!

現在喫煙している人や、過去に一定期間以上の喫煙経験がある人が、健康診断後の詳細な検査を行った結果発覚した異常の多くが、慢性閉塞性肺疾患を発症していることがわかりました。慢性閉塞性肺疾患は、今ではCOPDとして知られる生活習慣病です。COPDは、一般の健康診断で発見されにくい病気ですが、詳細な検査ではかなり高い確率で発見できる病気ではあります。

COPDを見つけるためには、胸部CTスキャン、スパイロメーター検査(肺活量検査)、歩行検査、呼吸器関連のヒアリングなどといった検査や問診が必要になります。しかし逆に、これだけの検査を行うことによって、とても怖いCOPDを発見することができるということも同時に意味します。それではここで、COPDについて簡単にお話しておくことにします。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)について

喫煙者とCOPDとの間には非常に密接な関係があります。そしてCOPDは、呼吸器のがんへと進行するリスクが非常に高い疾患です。COPD自体も呼吸困難などのつらい症状が出ることから、喫煙者にとっては非常に怖い病気ですが、やはり将来的に呼吸器のがんを招くリスクが高いということが、喫煙者にとってのCOPDの脅威ということになるでしょう。

COPDという疾病は、有害物質を外部(口や鼻)から呼吸器にとり込むことで発症する疾病です。喫煙者の場合、有害物質はたばこの煙に相当します。有害物質が長期的に呼吸器を通過することで、呼吸器に炎症が起こります。そのひとつに、気管支炎という有名な疾病がありますが、COPDは気管支炎などの呼吸器系疾患を伴うことが多いです。

すべてのCOPDが呼吸器のがんに移行するわけではありません。COPDにもいくつかのタイプがあって、中には呼吸器のがんに移行します。喫煙者が発症するCOPDは、呼吸器のがんを招くタイプである場合が多いと考えられています。しかも、健康診断で異常なしの結果を得た人であっても、現在および過去の一定期間に喫煙経験がある人の詳細な検査によって、すでに肺がんに移行しつつあるCOPDを発症していたという事例も少なくありません。

COPDの主な症状としては、気管支炎(咳、痰、喘鳴、呼吸困難)を重度にしたような症例が多く、非常に大きな苦しみを伴う病気です。また、呼吸器の炎症によって、肺自体が損傷することも多く、そのためCOPD自体は肺疾患であると定義されています。しかし実際には、肺や肺胞以外の呼吸器(主に気管や気管支)にもダメージがおよびます。

喫煙本数の増加でCOPDのリスクは上昇する!

同じスモーカーだからといって、1日1箱のたばこを吸う人と、1日1本しか吸わない人とでは、COPDをはじめとする肺疾患、呼吸器系疾患を発症するリスクが同じというわけではありません。COPDなどの肺疾患、呼吸器系疾患を発症するリスクは、1日の喫煙本数が増加すればするほど、そして喫煙気管が長ければ長くなるほど上昇します。

アメリカのある調査機関の調査によると、1日に1箱の喫煙習慣を10年続けてきた人のうち、一般的な健康診断で異常なしの結果を得たスモーカーはおよそ半数にのぼると報告されています。しかし、詳細な検査(上記のCT検査、肺活量検査、歩行検査など)を実施することによって、異常なしの結果を得たスモーカーのうちの55%にCOPDなどの肺疾患、呼吸器系疾患が発覚したとも報告されているのです。

他にも、明確な疾患は表れなかったものの、息切れの有無の調査の結果、ノンスモーカーの3.7%が息切れを自覚していると回答したのに対し、スモーカーの23%が息切れを自覚していると回答しています。つまり、息切れに関しては、たばこを吸うことによって6倍以上のリスク上昇を見ることになるのです。

他に疾患が見つからない以上、現段階で息切れは息切れでしかありません。しかし、息切れ自体がすでに異常であるため、その自覚があるということは、その後呼吸器系疾患を発症するリスクが高いということを意味します。

喫煙者にとって大切な意識

喫煙者にとって大切な意識は、たとえ健康診断で異常なしの結果を得たとしても、どこかに異常が隠されている可能性が高いと考えておくべきであるということです。COPDや呼吸器系のがんのような明確かつ重篤な症状があるから、そちらに注意がいってしまうだけであり、喫煙者はそれ以外の小さな疾患を見過ごしがちであるといえます。

たとえば、上で触れた息切れはその典型ですし、他にも咳や痰、喉の違和感など、はっきりした病名が付されないような症状がある時点で、異常は’アリ’なのです。喫煙者でありながら、COPDやがんなどの肺疾患、呼吸器疾患はなく、咳も痰も平常時はまったくなく、息切れも起こさないなどという人が果たしてどれだけいるでしょうか?

あえて厳しい言い方をすれば、喫煙者でありながら異常がないなどということなどあり得ないと考えても、決して大げさではありません。

禁煙に成功した人にとっての脅威

現在喫煙している人が、肺疾患や呼吸器系疾患を発症するのは、ある意味仕方がないことであるといえるでしょう。しかし、過去に喫煙経験があるものの、現在は禁煙に成功したという人にとってはどうでしょう。せっかくつらい思いをして禁煙したのに、そして健康診断で異常なしの結果を得たのに、改めて詳細な検査を実施したら肺疾患や呼吸器疾患が見つかったとなると、これはかなりガッカリということになるはずです。

喫煙によって肺や呼吸器がダメージを負うのは当然のことです。ただ一説によると、禁煙することによってダメージを負った肺や呼吸器が回復するといわれています。このことは単なるウワサに過ぎないのでしょうか?もし単なるウワサならば、たいへんな思いをして禁煙する意味などどこにもないではないか・・・と思う喫煙経験者の人も多いはずです。

しかし安心してください。喫煙によって肺や呼吸器が受けたダメージは、禁煙することによって時間とともに回復します。せっかく禁煙して、健康診断で異常なしの結果を得たにもかかわらず、詳細な検査によってCOPDなどの肺疾患、呼吸器疾患が発覚することは確かにありえます。

しかしこれは、禁煙してからの時間にもよります。長年で蓄積したダメージが回復するためには、やはりそれなりの時間が必要になるのです。つまり、喫煙していた時代にCOPDなどの肺疾患を発症し、これが改善するのに時間がかかっている状態なのです。ですから、たとえ詳細な検査で何らかの異常が発覚したからといって、禁煙成功者ならばそこまで落ち込む必要はありません。

ただ、異常があること自体は間違いないですから、そのまま治療をしたり、定期的に検査を受けたりすることが非常に重要であるということも間違いありません。

今回は、喫煙者が健康診断などの結果をどのようにとらえるべきかということについてお話してきました。しかしこれはあくまでも、喫煙という特殊な生活習慣による特殊なスタンスでのお話であり、健康診断の異常なしという結果が間違いであるとか、健康診断が無意味であるとか、そういうことを意味した内容ではないことには、十分注意していただきたいと思います。

もちろん喫煙の有無にかかわらず、一般的な健康診断も定期的に受診していただき、その結果を大いに有効活用して生活習慣病の予防や対策にしていただくことを切に願います。

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