高齢者だって遅くない!今から運動に触れるための方法を考える!

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運動の重要性を再確認する!

健康意識が最高潮のレベルにまで高まった日本では、運動の重要性はことあるごとに説かれてきました。若い人にとって運動が重要であるということは誰もが知るところですし、年配の方だってそのことを知っている人のほうが多いはずです。

ただ、高齢者になってしまうと、そもそも運動の習慣が生活習慣として組み込まれていないケースが多くなります。高齢者だからあまり無理はしたくないといった、どちらかといえば自分からハードルを設けてしまうような事例も少なくありません。

しかし、高齢者にとっても実は若い人や中年世代の人と同じように、運動はとても大切です。高齢になってくると、痛いところや動かせないなどの身体的な問題もいろいろ出てくるでしょう。また、頭でわかっていたとしても、運動しようという意欲の面で前向きになれないという話もよく耳にします。

ところが、運動が習慣になっている高齢者は、運動をしない高齢者にくらべていろいろな面でアドバンテージがあるということが、研究からわかってきているのです。そこで、ここでもう一度運動の重要性を確認し、運動を習慣的に行うことで高齢者にとってどのような健康的なメリットがあるのかということについて、改めて考え直してみたいと思います。

高齢者が習慣的に運動をすることで得られるメリット

繰り返しになりますが、高齢者が運動を生活習慣に組み込むことで、いろいろなメリットを得ることができます。得られるメリットは、身体的な部分だけでなく、精神的な部分にも及びます。どちらもかなり大きなメリットとして感じられるはずです。そのことについて詳しくお話します。ここでは便宜的に60歳以上を高齢者と定義します。

身体的なメリットについて

高齢者が運動を生活習慣に組み込むことで得られるメリットは非常に大きいです。それは若いうちにスポーツの経験があるとか、それまでに運動の習慣があった人だけでしょ・・・と思うかもしれませんが、そうではありません。60歳を過ぎてから新たに運動をはじめようという高齢者にとっても非常に大きなメリットを得られるということが、科学的に証明されているのです。

ある研究団体の調査によると、高齢者が習慣的な運動を4年以上継続することで、健康寿命は約7倍延びるという結果が出ています。もちろん健康寿命そのものが7倍になるわけではありません。健康寿命の延びがおよそ7倍になるのです。たとえば、運動をせずに健康でいられる期間が3年だった高齢者(つまり、63歳で何らかの病気を発症し、寝たきりになってしまうといったケース)に対し、運動を継続的に4年以上行っている高齢者は、だいたい81歳前後まで元気に活動することができる、というデータです。

もちろんこれは極端な例ですが、イメージとしてはそういうニュアンスになります。日本人の場合、平均寿命だけでなく、平均健康寿命も延びていますので、運動をまったくしないのに普通に活動できる人の平均健康寿命が65歳だとすると、7×5=35ですから、習慣的な運動を継続的に行っている高齢者は、95歳まで健康的に生活することができるということに、単純計算上は成り立つことになるのです。

具体的には、継続的な運動習慣によって脳卒中や心臓病のリスクが大幅に軽減されるという大きなメリットが得られます。運動をすれば、血圧や血糖値、コレステロールといった生活習慣病の最大のリスク因子がうまい具合にコントロールされますので、代表的な生活習慣病である脳卒中や心臓病のリスクも軽減されることになります。

また、高齢者の場合脳卒中のような脳血管疾患だけでなく、認知症のリスクも高まりますが、運動習慣がある高齢者は、認知症のリスクも軽減されることが研究からわかっています。

かつては単に長生きすることが重要であると言われてきましたが、今の時代、いかに健康に長生きするかがより重要であるという考え方が一般化されてきています。そういう時代だからこそ、上記の研究結果から考えて、高齢者の運動習慣は非常に重要であると結論づけられるはずです。

精神的なメリットについて

高齢者のうつ病患者が増加しています。その原因は、時代的背景をはじめとしていろいろ考えられますが、うつ病をはじめとする精神疾患の場合、その原因の特定が非常に難しいというのが現代医学の現状です。であれば、一般的な生活習慣病のように原因を特定してこれを取り除くという発想ではなく、うつ病のリスク因子を別の方法で軽減するという考え方のほうがはるかに効率的であるといえます。

うつ病のリスク因子を軽減させる効果が非常に大きいとされるのが、運動習慣です。高齢者のうつが増加している背景には、高齢化社会になって運動ができない高齢者が増加していることと決して無関係ではない現実が隠されているはずです。

また、上でもお話しましたが、高齢者の疾患のひとつに認知症が挙げられます。実は、認知症はうつをはじめとする精神疾患との関係も密接であるということがわかってきているのです。ですから、運動習慣を取り入れることによってうつなどの精神疾患のリスクを軽減することができれば、認知症のリスクも軽減されることが期待できるのです。

高齢者が運動習慣を生活に組み込むためにはどうすればよいか

高齢者にとって運動が重要な意味を持つということは事実です。しかし、これはある意味高齢でない人の発想であって、高齢者からすれば、若い人と同じ感覚で運動をしなさいといわれても、実際に身体やこころにかかってくる負担は、若い人の数倍の大きさであると考えるべきです。

では、高齢者が運動習慣を生活の中に組み込むためにはどうすればよいかというところも、高齢者の健康寿命が延びるためには非常に重要なファクターであるといえるはずです。それではここからは、高齢者がどう運動に触れるべきかということについて考えてみたいと思います。

より具体的な運動の必要性を理解すべき

高齢者にとって運動が重要である理由の大筋については、すでにお話してきたとおりです。しかしこれは、どこも悪いところがなく、運動するために身体的な問題が生じない高齢者に向けたお話であるともいえます。しかし実際には、特に70代後半以上の高齢者の多くに、痛いところがあったり足腰が弱ったりしている身体的な問題が付随します。

とすると、より重要なことは、一般論としての運動の重要性ではなく、より具体的な運動の必要性をお年寄りに理解していただくことが重要であるといえます。そのためには、大筋として健康寿命云々は重要ですが、もっと近い将来に視点を置いた運動の必要性の理解が重要であるということになるでしょう。

近い将来の危険回避を目指す運動

健康寿命を延ばすということは、高齢化社会を生きる上では非常に重要であることに違いありません。しかし、あまり遠くを見るのではなく、もっと近い将来にクリアすべき目標を設定し、次々と小さな目標をクリアしていくことで、運動に対する意欲を向上させることのほうが、より有効であると考えられます。

特に後期高齢者にとって重要なのは、認知症の予防や転倒防止のための運動です。後期高齢者ともなると、認知症の発症や、ちょっとしたアクシデントで致命的な重傷を負ってしまう近い将来のリスクが高くなります。

そうした近い将来に起こりうる現実的なリスクを回避する必要性を、お年寄りに理解していただくことが大切です。もちろんそのためにはエキスパートの意見や助言、さらには自治体の協力などが必要になってくるわけです。すでに自治体はエキスパートと協力していろいろと動いてくれているところが多いと思われます。

その体制をますます強化しながら、後期高齢者がいらっしゃる家庭やご近所もできる限り協力しあうような形で、近い将来に起こりうるリスクを回避するための運動を行うという考え方が、今後はこれまで以上に重要になってきます。

まずは、現実的にも比喩的にも、足元をしっかりと見つめることからスタートしていくべきであるといえるでしょう。また、後期高齢者であっても、身体を自力で動かすことができるのであれば、これまでの運動習慣の有無にかかわらず、今からでも運動する意識をしっかりと持っていただけるよう、支える人がアドバイスすることが大切であるといえるのです。

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