肥満症とメタボリックシンドロームは恐ろしい病気への第一歩だ!

生活習慣病の症状、予防方法、治療方法、データを知り、生活習慣病と向き合いましょう!
    

肥満症とメタボリックシンドロームについて

人はだれでも年齢とともに体力を失い、やがて病気にかかります。個人差はありますが、高齢者が病気にかかる確率は高いです。その個人差に何か特徴があるとすれば、太っているか否かによって病気の発症率が異なります。
最近では、太りすぎの傾向があるというだけでも生活習慣病と認定されるようになっています。肥満(症)やメタボリックシンドロームというと、まだ具体的な症状が現れていなくても、それだけで生活習慣病であると認識する人は多いはずです。

肥満、もしくは肥満症について

体重や体脂肪率が基準を上回ると、肥満と呼ばれます。肥満は生活習慣病のひとつです。また、肥満が原因で発症する症状を肥満症と呼びます。場合によっては、肥満であること自体を肥満症とする人もいます。従来肥満症は、脂肪組織の蓄積が顕著な場合のみ、特にそう呼ばれました。しかし脂肪組織の精査は困難なため、肥満症は広い意味で用いられることが多くなっています。

メタボリックシンドロームについて

メタボリックシンドローム(通称メタボ)は、日本語でいうならば代謝症候群です。一般的にはメタボ、もしくはメタボリックシン ドロームと呼ばれることが多い生活習慣病です。
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満であることを前提に、高血糖・高血圧・脂質異常症(高脂血症)のうち2つ 以上の症状が合併されている状態を指します。
ちなみに、内臓脂肪型肥満は、内臓肥満や腹部肥満などとも呼ばれることがあります。そのため、身長に対するウエストのサイズをメタボリックシンド ロームの判定のひとつに用いることもあります。

肥満、肥満症、メタボリックシンドローム、内臓脂肪型肥満は、イメージ的に似ているものの、いずれも異なります。

肥満と生活習慣病の関係

肥満は万病のもとだ!と古くから言われてきたとおり、その傾向は強いです。ただ、言い習わしほど根拠に乏しいことが多いのも確かです。しかし肥満が万病のもとであるといわれる根拠はある程度明確に説明することができます。

肥満と加齢が生活習慣病の原因になる

若いうちに肥満(症)であったとしても、それがすぐに生活習慣病へと直結するということにはなりません。生活習慣病はかつて成人病と呼ばれていた時代もあったように、年齢を重ねて発症しやすい病気です。加齢という以外に肥満のファクターを加味すると、生活習慣病の発症リスクは相乗的に高まります。

骨や関節、筋肉の疾患やケガ

加齢によって骨密度が低下すると、骨折などの外科的疾患が増加します。そこに肥満のファクターが加わると、骨にかかる負担はさらに大きくなりますので、骨の病気やケガのリスクは高まります。
加齢によって関節痛を発症する人が増えるのも、このことと大きく関係しています。関節は、骨以上に体重による負荷が大きいです。そのため、関節痛をはじめとする関節系の疾患やケガのリスクは肥満によって高められることになります。
骨や関節に異常をきたすと骨格形成が不安定になりますので、当然筋肉にも悪影響がおよびます。さらに、年齢とともに筋肉量は落ちる傾向にありますので、関節を筋肉で支えられないために、その緩みが関節痛や腰痛、ひざ痛などの痛みの原因になります。肥満によってさらに大きな負荷がかかれば、関節痛のリスクはますます高まります。
上記の理由から、内臓疾患ばかりでなく、骨や関節、筋肉に関連した疾患やケガも生活習慣病の一種であるといえます。

免疫系、循環器系、呼吸器系の病気のリスク

肥満と加齢が原因であると考えられている循環器系の生活習慣病は、以下の病気が挙げられます。

  • 高尿酸血症
  • 痛風
  • 脂肪肝
  • 膵炎
  • 睡眠時無呼吸症候群

これらの生活習慣病は、重症化することで生命の危険を伴う疾患ではありますが、緊急を要するケースはごくまれです。ただし、肥満と加齢が影響して生命の危険を伴う病気は非常に多いといえます。たとえば以下に挙げる疾病がこれに当たります。

  • 突然死
  • 大腸がん
  • 前立腺がん
  • 子宮がん
  • 乳がん

このように、肥満と加齢が生命の安全を脅かすことは、実は少なくないのです。他にも有名な生活習慣病はいくつもありますが、それについては別の機会に専門的なお話をしていきたいと思います。

メタボリックシンドロームと生活習慣病の関係

肥満とメタボリックシンドロームは別モノですが、肥満が生活習慣病と関係しているように、メタボリックシンドロームも生活習慣病と密接に関係しています。

メタボリックシンドロームがなぜ恐れられるべきなのか

正直、肥満をすでに発症しているという人にくらべれば、肥満気味というニュアンスがあるメタボリックシンドロームのほうが、生活習慣病との関係は多少希薄であるようにも思われます。しかしメタボリックシンドロームは、放置することで肥満と同様のリスクを招きますので、油断すべきではありません。
メタボリックシンドロームは、単に太り気味である、お腹が出っ張ってきているというだけではその対象に属しません。上でも触れたように、 高血圧、高血糖、脂質異常のいずれか2つ以上を発症していなければ、メタボとはならないからです。しかし、上記の3つの生活習慣病のうち、2つも発症しているとなると、これはもうすでに自体がかなり深刻化していると考えておかなければなりません。
だからこそ、メタボリックシンドロームはもちろん、上記の3つの生活習慣病のうち、どれか1つをすでに発症しているメタボ予備軍の人も、十分注意しておかなければならないといえるのです。

メタボリックシンドロームが原因で発症する生活習慣病

メタ ボリックシンドロームは、内臓脂肪が過剰に蓄積していることが問題視されます。内臓脂肪の過剰な蓄積が原因のひとつとなっている生活習慣病がたくさんあるからです。内臓脂肪の過剰な蓄積が生む悪影響について、以下にまとめておくことにしましょう。

血圧を上昇させる作用

内臓脂肪の中には、血圧を上昇させる物質が含まれています。その代表的な物質が、アンジオテンシノーゲンと呼ばれる物質です。この物質が増加する と、血圧の上昇が顕著になる場合があります。と同時に、内臓脂肪の増加により、動脈硬化を抑える物質であるアディポネクチンが減少する作用も働くため、高血圧が動脈硬化を引き起こす原因であるといわれます。それもこれも、元凶は内蔵脂肪の過剰な蓄積にあるのです。

肝臓への影響とその余波

内臓脂肪の過剰な蓄積によって、肝臓の遊離脂肪酸が増加します。遊離脂肪酸が増加することによって、脂肪肝のリスクや中性脂肪の増加といった悪影響がおよびます。中性脂肪が増加することによって、HDLコレステロール(善玉コレステロール)値が下がってしまうことが多いです。
コレステロールの問題では、主にLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の増加が懸念されますが、実は、HDLコレステロールの減少も、LDLコレステロールの増加と同等かそれ以上の動脈硬化、心血管疾患のリスクを高めるファクターなのです。

インスリン抵抗性の問題

食事の摂取などによって血糖が上昇すると、膵臓で分泌されるインスリンという物質が、血糖の上昇を抑える役割を果たそうとします。しかし、内臓脂肪が過剰に蓄積することによって、インスリンが血糖の上昇を食い止めにくくなる状況を招くことがあります。これがインスリン抵抗性の問題と呼ばれます。 インスリン抵抗性があまりにも高くなってしまうと、糖尿病の直接の原因になります。

その他の問題と症状

内臓脂肪が過剰に蓄積することによってさまざまな問題が起こりますが、上記以外で大きな問題となるのが、尿酸の増加です。尿酸値が上昇すると、高尿酸血症と呼ばれる生活習慣病を発症し、やがて痛風という、激しい痛みを伴う恐ろしい病気を発症します。
また、内臓脂肪型肥満と呼ばれる肥満に陥ることで、睡眠時無呼吸症候群をはじめとするさまざまな弊害をもたらすと考えられています。
メタボリックシンドロームは、現時点では直接的な病気の原因にならないとしても、やがて年齢を重ねることによって、上記のそれぞれの症状がより重篤な生活習慣病へと進行するリスクになります。重篤な生活習慣病は、即生命の危険を招きます(このことは、肥満と生活習慣病の関係のところでお話したとおりです)。
メタボリックシンドロームを発症したら、すぐにでも対策を講じ、生活習慣の見直しからはじめる必要があります。メタボリックシンドロームを放置することは許されないというくらいの厳密な姿勢が必要です。
また、メタボ予備軍の診断が下った患者さんにとっても、現状を放置することでメタボリックシンドロームへと’格上げ’されてしまうリスクが懸念されます。できるだけ早い生活習慣の改善が必要であると考えてください。

Top