非感染性疾患(NCD)を予防し、早期発見するために重要なことは何か

生活習慣病の症状、予防方法、治療方法、データを知り、生活習慣病と向き合いましょう!
    

非感染性疾患(NCD)の定義

非感染性疾患ということばにあまりなじみがない人も少なくないと思います。今回非感染性疾患のお話をするにあたり、まずは、その定義づけから行って行きたいと思います。

ウイルスや菌・細菌類の感染によって発症する疾患が、感染性疾患です。これに対し、ウイルスなどの感染とは無関係に発症する疾患を、非感染性疾患と呼びます。非感染性疾患は、Non-Communicable Diseasesの略であるNCDで表現されることが多いです。

NCDは、わかりやすく言えば、私たちがイメージする生活習慣病に相当する疾病群であると考えられます。たとえば、糖尿病にしてもがんにしても、心疾患や脳疾患にしても、どれも感染によって罹患し、発症する疾病ではありません。つまりそれは、誰のせいでもなく、自分の生活習慣だけが原因で発症する疾患であるということもできます。

非感染性疾患の現状

NCDは、現在世界規模で増加傾向が見られます。たとえば代表てきな生活習慣病である高血圧(症)や肥満、メタボリックシンドローム、そしてそこから派生するがんなどの臓器疾患が、世界各国で増加の傾向にあるということが、世界保健機関(WHO)から発表されています。

WHOでは、NCDが増加している原因の多くが生活習慣の悪化にあるとしています。不健康な食生活、運動不足、喫煙、過度な飲酒など、生活習慣病の元凶となる生活習慣が世界的に見て蔓延していると警鐘を鳴らしています。実際、健康意識が高い日本やアメリカでも、健康意識の高まりによって改善される部分はあるにしても、大きなくくりで見れば、NCDは増加の傾向にあるといわなければならないというのが現状です。

NCDの特徴

NCDには特徴があります。中年、高齢者層でNCD罹患者が急増するという特徴です。NCDを生活習慣病と同義的にとらえれば、この傾向も当然ということになるでしょう。中年以降高齢者に増加しているNCDの代表てきな疾患は、心血管疾患、糖尿病、がんです。そして特に最近では、慢性呼吸器疾患の増加も懸念されます。NCDの発症増加率が非常に高いため、2030年には、NCD疾患による死者数が全世界で5500万人に達する見込みであるとWHOは推測しています。

死亡率が高いNCD疾患と今後の予測

疾病別に見てみますと、死亡率が高いNCDは、順に以下のようになります。

  • 心疾患(48%)
  • がん(21%)
  • 慢性呼吸病(12%)

この3つの疾患で、全NCDの8割以上を占めることになります。また、それ以外にもがん以外の疾患や臓器疾患が上位を占めます。

特に上位3疾病の増加が今後の動向に懸念を与えます。WHOでは、2008年に約1700万人だった心疾患による死亡者数が、2030年には2500万人へと増加すると予測しています。同様に、2008年から2030年への予測の推移で、がんによる死亡者数は約760万人から1300万人へと倍増するとしており、とりわけがんによる死亡者数の急増を危惧する専門家の声が高まっています。

心疾患や脳疾患には共通の原因が指摘される

上記のとおり、NCDの中でも心疾患による死亡者数が高いことが示されましたが、上位3疾病には含まれないものの、脳疾患による死亡者数の増加にも同様に危惧する声が高まっています。そして、心疾患と脳疾患には、同じNCDでも特に共通する生活習慣の問題を指摘する声も高まっているのです。

冠性心疾患(狭心症や心筋梗塞などの冠動脈のトラブル)や脳血管疾患の多くの原因になるのが、動脈硬化です。動脈硬化を発症すると、血管を損傷する原因になるため、必然的に冠性心疾患や脳血管疾患のリスクが急上昇します。したがって、共通する生活習慣によって、心疾患と脳疾患を引き起こすと考えられるのです。

その生活習慣とは、不健康な食生活、喫煙、運動不足、アルコールの過剰摂取です。いずれも高血圧のリスクを上昇させ、不健康な食生活と運動不足は肥満やメタボリックシンドロームを経由しながら高血圧のリスクを高めます。その結果、最終的には動脈硬化を発症し、動脈硬化を放置することによって、冠性心疾患や脳血管疾患を発症するというメカニズムになるのです。

世界中で成人の3人に1人が高血圧!

WHOによると、世界中で成人の3人に1人が高血圧を発症していると発表しています。その結果、心疾患はNCDの中でも群を抜く死亡率に至り、脳疾患による死亡率も非常に高くなっています。2004年のデータでは、全死因の実に13%にも相当するのが、高血圧であったという記録も残っています。NCDや全疾病における死亡ではなく、全死因というところにこの数字の脅威を感じます。

しかしそうした傾向を受け、特に先進国では血圧を下降させる薬(降圧剤)の開発が進み、心疾患に対しては降圧剤が効果的に作用した結果、高血圧患者数が劇的に減少しているといいます。そして、心臓病による死亡者数も幸い減少傾向に転じていることがわかっています。

これに対し、アフリカをはじめとする発展途上国においては、高血圧患者数は依然増加傾向にあります。特にアフリカでは、全成人の40~50%にものぼる人が高血圧であると推計されています。また、医療レベルが低いことも手伝い、今後高血圧に起因するNCDによる死亡者数の増加が懸念されています。

糖尿病によるNCDへの影響

糖尿病自体もNCDのひとつに数えられる疾病ですが、糖尿病の脅威は、罹患することによって、別のNCDを合併症として発症しやすくなるというところです。糖尿病自体はNCDにおける全死因の3.5%にとどまりますが、しかし糖尿病が別の疾病を誘発することで死に至ったケースを想定すると、糖尿病による死亡率は3.5%から爆発的に増加すると考えられます。

実際、冠性心疾患による死亡者の22%は糖尿病を発症しており、脳卒中による死亡者数の16%は糖尿病を発症していたというデータがあります。冠性心疾患や脳卒中以外のNCDの死亡者の中にも、当然糖尿病の罹患者はたくさんいます。そのことを考慮すると、数字には表れてはいないものの、糖尿病はNCDにおける潜在的脅威といえるのです。

非感染性疾患だからこそ予防の意識が重要!

冒頭でも触れましたが、NCDは誰のせいでもなく発症する疾病です。つまり、すべてとは言いませんが、多くは自分の生活習慣が原因で発症する疾病であるといえます。しかし逆に言えば、NCDは、感染性疾患にくらべれば予防しやすい疾病が多いということにもなるはずです。

知らないうちに外から入り込んで発症する病気にくらべれば、自分の中で原因を発生させなければ発症しない病気なのですから、自分の中で原因が発生しないような努力(つまり予防)をすることで、NCDの多くを未然に防ぐことができるのです。

また、仮にNCDに罹患し、症状を発症したとしても、早期発見によって約80%のNCDは完治すると考えられています。そして、普段から予防の意識(つまりは病気のことを気にかける意識)が高いからこそ、定期的な健康診断の受診が実現されるのです。これをひと言でいうならば、おそらく耳にタコができるほど聞かされているはずの、健康診断は定期的に受けましょう!ということばに集約されるのです。

NCDで死なないためには、予防と早期発見が最大のポイントになります。そのためにも、生活習慣を正し、健康診断は定期的に受けましょう!

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