高血圧だけではない!?低血圧に危険があることは知られていない!

生活習慣病の症状、予防方法、治療方法、データを知り、生活習慣病と向き合いましょう!
    

血圧はあくまでも正常であることが重要

高血圧を何とかしなければならないという声は、医療従事者のみならず、私たち一般人の声としても昔から聞こえますが、低血圧をどうにかしなければならないという危機感あふれる声は、正直あまり聞こえてきません。しかし、正常ではないからこそ低血圧という病名があるのも事実です。血圧は正常であることが重要なのです。

実際のところ、低血圧の危険性についてはあまり語られないことが多いですが、低血圧にも大きな危険が潜んでいる場合がありますので、正常値に戻すのが難しい低血圧ではありますが、危険があるという意識だけは持っておく必要があるでしょう。

世界保健機関(WHO)が公表している世界基準の血圧の正常値をまずはご紹介しておきます。WHOによりますと、正常な血圧の範囲は、最大血圧が100~130mmHg、最小血圧が61~89mmHgです。最大血圧が130mmHgを超えるか、最小血圧が89mmHgを超えると高血圧と呼ばれ、慢性的に高血圧の人は、高血圧症という生活習慣病になります。

これに対し、最大血圧が100mmHg未満もしくは最小血圧が61mmHg未満の人は、低血圧であると分類されることになります。

低血圧と低血圧症

上記の最大血圧の下限もしくは最小血圧の下限を下回る人は、低血圧であると言います。しかしそこに何らかの自覚症状が加わることで、その症状は低血圧症と呼ばれ、低血圧症は病気の一種であると認定されることになります。

低血圧症の症状には、次のような症状がよく見られます。立ちくらみ、冷え性、肩こり、頻度の高い倦怠感、動悸、食欲不振、寝つかれないといった症状が、低血圧症の典型的症状であるといえます。逆に、普段血圧を測定する習慣がない人が、上記のような諸症状を自覚するようになったときには、定期的に血圧測定をしてみることで、場合によっては低血圧の傾向が高かったということが判明することも多いです。

血圧を測定する習慣がない人で、上記の症状が頻繁に起こるようになったら、できるだけ血圧測定を習慣化するよう心がけていただきたいと思います。

低血圧にも多様な種類が考えられる

低血圧は、単に血圧が低いというだけのことではなく、何らかの原因があると考えるべきです。その原因によっては、重篤な病気とのかかわりも疑われることになりますので、なかなか改善できない低血圧に悩む人(特に女性に多い)は、新たな病気を予防する意味でも、低血圧の原因を探ることも重要になってきます。

原因によって、低血圧の種類が分かれることが多いです。また、中には原因がはっきりしないタイプの低血圧もあります。ここでは、低血圧の種類ごとに、簡単に説明することにします。

低血圧の大多数が本態性低血圧

低血圧に悩む人の80%にものぼるのが、本態性低血圧と呼ばれるタイプの低血圧に属します。本態性低血圧の場合、明確に何が原因になっているのかが特定しづらいタイプの低血圧です。逆にいえば、大きな病気に発展しづらいタイプの低血圧ではありますが、油断はすべきではありません。何かしらの原因があるからこそ、血圧が低くなるのです。

特定はしづらい場合が多いですが、考えられる原因はあります。たとえば遺伝的な要因で本態性低血圧を発症する人は非常に多いと考えられています。また、ホルモン異常やホルモンバランスの長期的な崩れによって、本態性低血圧を発症する人もいます。

本態性低血圧を発症しやすい人

本態性低血圧を発症しやすいのは、以下のような人になります。体型が痩せ型である、筋肉量が少ない、顔色が悪い(青白い)、虚弱体質、慢性疲労、神経質、朝は特に弱いといったタイプの人は、本態性低血圧を発症しやすい人であると考えられます。低血圧の人をイメージすると、先入観としてはまさにこの感じになると思いますが、あくまでも傾向であって、必ずしもこういうタイプの人が本態性低血圧を発症するとは限りません。

ちなみに、上記のようなタイプの人を、無力性体質などと呼びます。ただ、無力性体質以外の人であっても、本態性低血圧を発症する人がいることも事実です。

体質性低血圧

本態性低血圧は、さらに分類されることもあります。厳密な意味での本態性低血圧に属する人とは、上記の自覚症状がある人です。逆に、自覚症状がないにもかかわらず低血圧であるという人は、体質性低血圧と呼ばれます。

立ちくらみの傾向が強い人は起立性低血圧の疑い

本態性低血圧や体質性低血圧は、どちらかといえば慢性的な低血圧であるといえますが、普段は低血圧の傾向が顕著ではない人であっても、いわば急性的な低血圧を発症することによって、いろいろな症状が表面化することがあります。たとえば最も典型的な症状が、立ちくらみです。立ちあがるときにめまいを感じる人は、起立性低血圧を発症している可能性があります。

ずっと座っていた人が急に立ちあがるときに立ちくらみを感じることは珍しくありませんが、これは、身体が体位の変化に適応できていないことで起こる現象です。本来であれば、身体がすぐに変化に対応し、心臓をはじめとする上半身に血液を送り戻さなければなりません。しかしそれができないことで、上半身の血流が不足し(つまり低血圧を発症し)、立ちくらみの症状が起こります。

また、立ちくらみ以外のめまいが起こりやすい人や、比較的幼少期に多い失神などの場合も、起立性低血圧を発症しているケースが非常に多いといえます。貧血でも同様の症状が見られますが、貧血と起立性低血圧とは本質的に別の症状です。起立性低血圧は、貧血と違って、時間とともに回復する場合が多いです。

ただし、回復するかしないかの問題よりも、上記の症状が起こりやすいこと自体が起立性低血圧の最大の問題なので、症状が重い場合には、早期の治療が必要になります。

起立性低血圧の対策

比較的軽度の起立性低血圧であれば、ごく簡単な対策を立てやすいです。たとえば、あまり長時間立ちっぱなしの状況を避けることや、座っていて立ちあがるとき、または立っていて座るときに急な動作を控えるといった注意を払うことによって、起立性低血圧による症状を回避・軽減できる場合もあります。

また、疲労を自覚しているときに無理な運動をしたりアルコールを摂取したりすることによって急な血流の増加が起こると、起立性低血圧の症状が顕著化することがあります。症状の傾向がある人は、できるだけ急な血流の増加を引き起こさない工夫が必要になります。

二次性低血圧は病気のサインかもしれない

数的には多くありませんが、低血圧が病気のサインになっている場合もあります。このタイプの低血圧を二次性低血圧と呼ぶことがありますが、二次性低血圧の場合、血圧が低いこと以前に、血圧が低下する原因になっている病気を特定し、治療することのほうがより重要です。

二次性低血圧には、急性と慢性があります。どちらも命にかかわる非常に危険な状態である場合が多いですが、より緊急要する血圧低下となるのは、急性の二次性低血圧のほうです。急性の二次性低血圧の原因として考えられるのは、心筋梗塞や急性中毒症、さらには急性出血、突然の下痢や嘔吐、さらには腸閉塞などの疾患や症状が挙げられます。

これに対し、慢性の二次性低血圧では、がんや白血病、肝硬変といった重篤な病気の場合もあります。また、たとえば肺結核などの慢性伝染病や、慢性的な貧血でも発症することがあります。

ですから、上記の病気やケガの場合は、血圧そのものよりも、まずはその原因を排除することに全力を注ぐ必要があります。

男性よりも女性に低血圧が多い理由

男性でも低血圧の人はいますが、イメージとしては、女性のほうが男性よりも低血圧に悩む人が多い印象があります。そしてそれは単なるイメージではなく、事実でもあり、そこにはちゃんとした理由もあります。

ひとことで言えば、女性ホルモンの働きのひとつに、血管拡張の作用があるからです。そもそも血圧というのは、血管壁を血液が押す単位面積当たりの力を意味します。女性ホルモンの働きによって血管が拡張されることにより、血流は緩やかになるのです。その緩やかさが過度になってしまうことで、低血圧を生じることになります。

また、男性にくらべて精神的に不安定なことが多いのも女性の特徴であり、これがストレスを生み、そのストレスが自律神経系のバランスを崩すことが原因であると説明されることもあります。自律神経系は、緊張とリラックスのバランスを保つ役割をしますので、そのバランスの崩れが血流を緩めると考えられるのです。

低血圧は改善できる!

二次性低血圧の場合、その原因を排除することで解消することができる低血圧であるといえますが、しかしそれ以外の本態性低血圧や起立性低血圧の場合、原因がないわけではないものの、たとえばそれが体質だとか遺伝だとかという目に見えづらい原因によるものである場合も多いため、なかなか改善しづらいというのが低血圧のイメージです。

しかし、低血圧も生活習慣に少し工夫を加えることによって、改善されることもあります。低血圧は、狭義では生活習慣病ではないものの、生活習慣の変化によって改善されるということは、広義で生活習慣病であるともいえるはずです。ですから、ここからは生活習慣にも少し着目して、低血圧を改善する方法を模索していきます。ここからはすべて、二次性低血圧以外の低血圧についてお話します。

朝、頑張る!

多くの低血圧には、朝に弱いという共通の特徴があります。朝弱いからという理由で、朝のうちの活動量がどうしても減ってしまうということが、低血圧をさらに助長させている可能性があります。どういうことかというと、朝のうちは血圧が低い状態で活動するということを、身体が覚えてしまうということです。

それならば逆に、血圧が低い状態でも頑張るということを身体に覚えさせることによって、体質改善を図ることができるのではないか・・・の狙いです。自律神経系の乱れには、一定の刺激を与えることが有効とされますので、朝のつらいときにこそ、自分に喝を入れるイメージで頑張ることで、低血圧が解消されることもあるのです。

食事のバランスに気を付ける

塩分を摂りすぎると高血圧という生活習慣病を発症することはよく知られるところです。このことを逆手にとって、低血圧の人は塩分を多めに摂取しようなどと考えてはいけません。塩分摂取が過剰になると、正常な血圧ではなく、慢性的な高血圧を発症するリスクが高まりますので、塩分によって血圧をコントロールするのではなく、塩分は控えめのままバランスの良い食生活を送りつつ低血圧を改善するという発想が重要になります。

より有効なのは、たんぱく質です。たんばく質は血液の生成にとって重要な栄養素です。また、体温を上昇させる働きがあります。身体を温めることによって血流が活発になりますので、身体を温める効果があるたんぱく質を豊富に摂取することが、食事の分野においては低血圧を改善するためのヒントになります。

たんぱく質を豊富に含むのは、肉類や魚介類、乳製品、卵、豆類が挙げられますので、これらの食材を積極的に摂取する意識を高めましょう。たんぱく質以外にも、カフェインには血圧をコントロールする働きがあることがわかってきていますので、食後のコーヒーや緑茶、紅茶は低血圧の改善に効果が期待できます。

筋肉量を増やす

上でもお話しましたが、筋肉量が少ない人ほど低血圧に陥りやすい傾向があります。それならば、逆に筋肉をつけることで、低血圧を改善できる可能性があるということにもなります。特に起立性低血圧の人は無理をすべきではありませんが、緩やかな有酸素運動でウォーミングアップをしたあと、少しずつ筋トレを運動習慣の中に取り入れることで、筋肉量のアップを図りましょう。

水分をこまめに摂取する

低血圧の原因のひとつと考えられるのが、循環血液量の減少です。循環血液量の減少は、体内の水分量が減少傾向にあることで起こりやすくなります。ですからまずは体内の水分量を上昇させることで、循環血液量を増加させることを目標とします。循環血液量が増加することによって、血圧は少しずつ上昇していくはずです。そのためには、水分摂取量を多くすることが大切です。

ちなみに、高血圧の原因に塩分摂取量が多すぎるというファクターが挙げられますが、これは、体内の塩分濃度を減らすために血液がたくさんつくられることによって、血管内を流れる循環血液量が多くなっている状態であり、その結果高血圧という症状を招くことになります。

低血圧の人は、血液量ではなく、水分によって血流を増加させることを目標とします。そのために水分を少し多めに摂取することが有効であると考えられます。

今回は低血圧の種類や原因、改善方法についてお話してきました。低血圧は高血圧にくらべると大きな問題にはなりにくい分、見過ごされやすい症状であることもまた事実です。血圧が低いからといって油断せず、できるだけ適正とされる血圧に近づけるように工夫や努力をしていきたいところです。

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