アルコール摂取量の増加によって肝臓がん発症のリスクが高まる!

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アルコール摂取量が多いと肝臓がん発症のリスクが上昇する!

世界がん研究基金(WCRF)と呼ばれる調査団体が発表したレポートによると、アルコール摂取量が多い(1日3ドリンク以上が目安)と、肝臓がんのリスクが上昇するとの見解が示されました。アルコール摂取量が多ければ、それは肝臓がんになるリスクはあがるでしょう・・・と思う人は多いとは思います。ただ、アルコール摂取量と肝機能、肝臓損傷のメカニズムはよく知られるものの、肝臓がんまで言及すると、正直少し違和感があるのも事実ではないでしょうか。

今回は、アルコールの摂取量と肝臓の関係をおさらいしながら、WCRFが示した見解の根拠を探してみることにします。

アルコール摂取量の増加にともなう肝臓がん発症増加率

WRCFが肝臓がん発症のリスクにまで言及して飲酒習慣を糾弾するのには、それなりの根拠があるからです。それは、アルコール摂取量が増加すればするほど、実際に肝臓がんを発症する確率が高くなるという根拠です。

具体的には、1日3ドリンク以上のアルコールを摂取する飲酒主観によって、肝臓がんの発症率が増加するという調査結果をその最大の根拠にしています。1ドリンクという表現はあまりなじみがない表現ですが、1ドリンクは種類のことではなく、アルコール10gに相当する飲酒量が、1ドリンクと定義されます。

さらに、アルコール摂取量が10g増加するごとに、肝臓がんを発症するリスクが4%ずつ増加していくとの見解も示しています。これは、2012年の世界の肝臓がん患者を対象に行った調査から明らかになったデータです。

では、アルコール1ドリンクが実際のアルコール飲料ではいったいどのくらいのアルコール摂取量に相当するのかというところが気になるところです。たとえば、アルコール5%のビール系飲料であれば、500mLのロング缶1本飲むと25gのアルコールを摂取することになります。これは、2.5ドリンクに相当します。

同様に、アルコール12%のワインであれば、ワイングラス約2杯分の200mLで24gのアルコール摂取になりますので、2.4ドリンクということになります。同様に、アルコール15%の日本酒でいえば、1合に相当する180mLで2.7ドリンクです。350mLのビール系2本を飲めばもう3ドリンクを超えてしまいます。

もちろん、肝臓のアルコール代謝能力は人によって、そして年齢や体調によっても違いますので一概には言えません。ただ、上記の結果から考えると、肝臓がんを予防するためには、350mLのビール系飲料1本と日本酒をおちょこで2杯程度を上限とすることが望ましいでしょう。

また、女性は男性にくらべて筋肉量が少なく、肝臓のアルコール代謝能力が男性よりも劣ることが知られています。ですから、男性と同じ基準でアルコール摂取量の上限を推測するのは危険です。女性は、個人差はあるものの、やはり男性の半分前後アルコール摂取量にとどめることが望ましいといえます。

肥満や体重超過の人はさらに厳密を要する!

肝臓がんは、数々の肝疾患の最終的な段階であり、最も深刻な病気であることはみなさんも推測するところでしょう。ただ、特にアルコール摂取との関係を考えるとき、アルコールを摂取したからといって、いきなり肝臓がんを発症するということは考えられません。飲酒習慣がある人が、飲酒が原因で肝臓がんを発症するとき、徐々に悪化のプロセスをたどり、最終的に肝臓がんを発症することになるのです。

肝臓の悪化のプロセスのうち、最も初期の段階と考えられるのが、脂肪肝です。脂肪肝は、アルコール摂取量が多くなればなるほど発症しやすい肝機能障害です。アルコールを摂取することによって、脂肪酸が中性脂肪を合成するのが肝臓の特性です。中性脂肪がたくさん合成されれば、当然肝臓は脂肪を帯びることになり、脂肪肝を発症することになります。

脂肪肝が肝臓がんを招く理由のひとつに、脂肪肝を発症した肝臓が線維化を引き起こしやすいことにあります。肝臓が線維化することによって、肝硬変のリスクが上昇、やがて肝臓がんを発症することもあると考えられています。

そしてもうひとつ見逃すべきではないのが、肥満やメタボリックシンドロームです。適正体重の人にくらべて、肥満やメタボリックシンドロームを発症している人のほうが、中性脂肪が合成されやすいという性質があります。これは、肝臓に蓄積されるアミノ酸の増量によって脳が中性脂肪の分解の効率を下げるという肝臓の特性による傾向です。ですから、肥満やメタボリックシンドロームを発症している人の飲酒によって、脂肪肝を発症するリスクがより高まるのです。

アルコールの摂取による肝機能障害の進行は、脂肪肝、肝硬変、肝臓がんというプロセスをたどると説明されます。つまり、アルコールを摂取する人であっても、脂肪肝にならなければ肝臓がんを発症するリスクは軽減されることになるのです。ということは、脂肪肝をより発症しやすい肥満やメタボリックシンドロームを発症している人ほど、肝臓がんの発症リスクは高いということになるのです。

アルコール摂取による肝臓がんのリスクを軽減する方法

飲酒習慣がある人の肝臓がんリスクを軽減する方法としてまず言わなければならないのは、できるだけ毎日3ドリンク以内にアルコール摂取量を制限していただきたいということです。そして、最低でも1週間に1日の休肝日を肝臓に与えてあげることです。これに尽きるといってもいいくらいではありますが、ただ、頭でわかっていても、それがなかなか難しいということもわかります。

できるだけアルコール摂取量をコントロールしていただくという前提で、アルコール摂取量以外のファクターに注目する肝臓がんリスク軽減の方法が、実はないわけではありません。そして、そんな方法は複数あるのですが、中でも最も身近な方法といえるのが、コーヒーを飲むという簡単な方法です。

1日当たり1杯のコーヒーを飲む飲酒習慣がある人は、肝臓がん発症のリスクが14%軽減されるとのデータもあります。ただしこれは男性に限られるデータであり、残念ながら女性にはこの手の臨床結果が得られませんでした。また、1日1杯のコーヒーで肝臓がんの発症リスクが軽減されるからといって、毎日たくさんコーヒーを飲めば肝臓がんの発症リスクがゼロになるわけではありません。

肝臓がんのリスクを増加させる食材

アルコール摂取とは直接関係がないお話になりますが、肝臓がんの発症リスクを高める可能性があると考えられている物質もありますので、ここに付け加えておくことにします。

カビの一種であるアフラトキシンが付着する食材を摂取することによって、肝臓がんの発症リスクが上昇するとの発表が行われています。アフラトキシンは、ダイエット効果が高いとされるピーナッツやピスタチオ、ブラジルナッツなどに付着している物質です。他にも、シリアルや、コショウやチリなどのスパイス類、さらにはドライフルーツなどにもアフラトキシンが付着しているといわれます。

ただ、上記の食材を継続的に大量摂取するようなことがなければ、ほとんど人体に影響を及ぼさないということもわかっていますので、あまりデリケートになりすぎる必要はありません。

それより何より、肝臓がんのリスクを上昇させるのは、1日に3ドリンクを超えるアルコール摂取であるということのほうがより重要です。飲酒習慣がある人は、ぜひこのことを頭にとどめておいていただきたいと思います。健康に、いつまでもおいしくお酒を飲むためにも、日々のアルコール摂取量のコントロールが最も重要なのです。

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