酒はほんとうに百薬の長なのか!?アルコールの真実に迫ります!

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古くから、酒は百薬の長といわれてきた

酒は百薬の長というような、ことわざとも格言ともつかない言い習わしがあります。私たちが検査をして、その結果を見ながらシブい表情のお医者さんにいつも言われることばというと、アルコールはできるだけ飲まないようにしなさい・・・ですが、酒は百薬の長のことばが意味するところは、あくまでもイメージとしては、私たちが知る多くのお医者さんの表情とは逆の内容を示唆しているようにも感じられます。

そこで、ちょっと酒は百薬の長ということばについて調べてみますと、適量のお酒であれば、どんなに素晴らしい薬よりも高い効果があるという、お酒に対する讃美歌のような意味のことばであることがわかります。とすると、まずは適量というのがどのくらいの量を意味するのかというのが、まずは引っかかってくるところでしょう。何しろ、おちょこに一杯程度が適量だったとすると、満足する人はどこにもいないといっても過言ではないはずです。

そしておそらく、お酒を賛美するこのことばをはじめに言った人は、相当のお酒好きだったということも推測されますので、そんな人が毎晩おちょこに一杯のお酒で満足していたとは到底思われません。そういった、解釈次第ではどうとでも解釈できてしまうようなこのことばについて、今回はその真意と、アルコールの真実についてお話してみたいと思います。

アルコールが身体に悪いといわれるワケ

酒は百薬の長という、お酒が好きな人にとってはとても好ましいことばがある反面、それでもやはり一般的な常識としては、お酒は身体に悪いというイメージが根強いというべきでしょう。厳密には、単にお酒ということではなく、お酒の主成分ともいえるアルコールが身体に悪いと判断されることになるわけですが、では、なぜアルコールは身体によくないのかということについても、おそらくすでにそのことについての知識は持っているという人も多いとは思いますが、あえてここでおさらいしておきたいと思います。

アルコールは肝臓にとっては大きな負担となる物質

私もお酒が好きなので、ときどき思うことがあるのですが、人間の身体の素晴らしいところは、いろいろな臓器や器官、構造がそれぞれの役割を見事にこなしているというところである反面、臓器によっては、あるいはその人の食生活などの生活習慣によっては、ある特定の臓器だけ負担が大きくなってしまうというところが、私たち人間の身体のうまくないところかな・・・などとも思うのです。

たとえば、二足歩行の人間にとって、運動のショックは膝や腰にくるため、膝や腰が悪くなる人が多いです。これと同じように、お酒や糖分の摂取が肝臓に与える負担が非常に大きくなってしまうということもいえるのです。お酒を飲まず、それほど甘いものも食べない人であれば、よほどの事情がない限り肝臓に大きなダメージがおよぶことがないですが、しかし、特にアルコール摂取の頻度や分量が多い人にとって、アルコールを摂取しない人の何倍ものダメージが肝臓におよびます。

これはなぜかというと、アルコールの分解という人間にとって重要な代謝機能は、肝臓という臓器が一手に担っているからです。もしアルコールの分解が分担制であれば、私たちはもっとたくさんのお酒を飲むことができ、ついでに甘いものもバリバリ食べることができることになるわけですが、残念ながら人間の身体はそこまで都合よくできているわけではありません。

つまり、お酒が好きな人にとって、肝臓への負担がどうしても大きくなってしまうという点で、アルコールが身体にはあまりよろしくない物質であるというふうに結論づけられることになるのです。

アルコールが肝臓にとって負担となる理由

それではせっかくの機会ですから、もう少し掘り下げて、アルコールが与える肝臓への影響について考えてみたいと思います。ひとつに、アルコールを代謝するプロセスで生成されるアセトアルデヒドという物質が、肝臓にダメージを与えることが挙げられます。アセトアルデヒドは毒性の強い物質であり、これを解毒するのが肝臓の重要な役割になるのですが、しかし摂取するアルコールの量が多すぎると、上手に代謝することができないという事態が起こるのです。

そしてもうひとつ忘れてはならないのは、アルコール自体、実はかなりカロリーが高い物質なのです。もちろんお酒である以上、アルコール以外にも糖質や脂質を含む飲料ですから、これがアルコール自体のカロリーの高さと相乗効果を生んでしまい、肝臓に負担をかけることになるのです。その初期的な段階が、いわゆる脂肪肝という状態であり、これも生活習慣病のひとつに数えられています。

脂肪肝になってもこれを放置しつづけると、やがて肝硬変という重篤な病気へと発展し、肝硬変が悪化すると、肝臓がんや肝不全を発症し、やがて死に至るほどおそろしい病気であるということを忘れることはできません。

 

このあたりも、肝臓が一手にアルコール代謝を行うことで、お酒をたくさん飲む人の肝臓は不当なレベルで負担を強いられなければならない弊害です。肝臓は私たちの健康のために懸命にがんばっているにもかかわらず、褒められるわけでも表彰されるわけでもなく、ただ黙々と任務を全うしているのです。

そういった意味では、母の日や父の日と同様に、肝臓の日という肝臓に感謝する日をつくってあげたい気持ちにもなりますが、さすがに気味の悪い日になってしまいますのでそれはできません。しかしその代わり、いわゆる休肝日としてお酒を飲まない日を肝臓のために設けてあげるのが、お酒が好きな人の肝臓への優しさということにはなるでしょう。

ご自身の健康のためにも、ぜひ休肝日を週に最低1~2日設け、肝臓をいたわり、肝臓に感謝する日を設定していただきたいと思います。

それでも酒は百薬の長であると考えられる理由は何か

酒は百薬の長ということばがこれほどまでに私たちの中に浸透しているのは、まさに言い得て妙なことばであることの証明にもなっていると考えられます。では、お酒のメリットが果たしてどこにあるのかというと、やはり、適量を守ってお酒を飲むことによって、血行が促進されることがそのすべてといっても間違いではないでしょう。

もちろん、気分的に気持ちよくなるというメリットもありますが、それが過ぎて身体にとってマイナスとなってしまうケースが多いことを考えると、やはりより大きなメリットは、血行が促進されるところにあるはずです。

酒は百薬の長ということばは、おそらく中国で生まれたことばなのではないかと推測されるような響きがありますが、中国といえば東洋医学の発祥となった地であり、東洋医学といえば、とにかく血流を重視する傾向があります。西洋医学でいう薬にあたる東洋医学の漢方薬では、何はさておき血流を促進する効果がなければ漢方薬とは言えないというくらい、血流が重視されます。ですから、お酒を飲んで血流が促進されるのであれば、その時点で適量のお酒にはメリットしかない・・・と、いささか能天気な発想ではありますが、そのように感じられなくもありません。

しかしここでひとつネックになってくるのが、はじめのほうでもお話したように、適量というのがどの程度であるのかの判断が難しいことです。その判断があいまいなために、肝臓をはじめとするいろいろな健康面でのデメリットをアルコールが呼んでしまうことにもなるのです。このことについても、少し次のところでお話しておくことにしましょう。

お酒の適量とは何か

お酒の適量に関しては、いちおうこのくらいという指標が公表されてはいますが、しかし実際問題、コップ一杯のビールでひっくり返ってしまう人もいれば、適量なんて無視して飲んでもまったく影響が出ない(ように見える)人だっています。ですから指標はあくまでも指標であって、万人にとってのバイブルとはなりえません。

結論から言えば、お酒の適量は、飲む人のアルコール代謝能力次第ということになります。もっといえば、飲む人の肝臓がアルコールをどれだけ代謝できるかによって適量が決まってくるのです。ということは、適量なんて本人にしかわからないし、いや、さらに言えば本人にだってよくわからないことであり、少なくともこのくらいなんていう中途半端な指標などほとんど意味をなさないことになるのです。

だからこそ、若いうちはお酒で失敗する経験をだれもが持っているのです。逆に、いい年こいたおっさんが若者のように前後不覚になってしまうことなど、そうそうありません。これも、過去の失敗から自身にとってのお酒の適量を学んでいるということになります。

ただし、学ぼうという意識がある人であれば、健康を害するほどお酒を飲まずに歯止めが利き、それはつまり、適量を守ることになりますから、そういう人にとってお酒は百薬の長たりえますが、しかし学ぼうという気持ちがさらさらないのではないかと思われる人も実際のところよく見ます。そういう人は、すべてとは言いませんが、多くは脂肪肝をはじめとする肝臓系の生活習慣病を発症することになってしまうのです。

酒は百薬の長ということばの扱いについて

適量さえ守っていれば、確かにお酒は血行促進をはじめとするメリットがいろいろあるのかもしれません。しかし、上記のとおり、お酒の適量というのはそうそう簡単に把握できるものではない、ということになるのです。

つまり、酒を百薬の長とするためには、少なくともお酒を飲むということには違いないわけですから、上記のようなお酒の過ちを犯すリスクは少なからずある、ということになります。もちろん、酔っぱらって何かをしでかしたという失敗もまずいですが、お酒によって健康を害するという過ちは、どんなことがあっても避けなければなりません。

確かに、東洋医学は現在見直されていますし、血流が促進されることが健康維持につながるという発想自体は非常に理に適った考え方ではあります。しかし、お酒を飲むことによって、健康を害するリスクを考えたとき、やっぱりお酒はメリットよりもデメリットのほうが大きいと考える現代人のほうが多いという印象があります。

だからこそ、お酒は飲まないという人も多いですし、そもそもアルコールを代謝できるだけの能力が自分の肝臓にはない(ビールをコップ1杯でひっくり返るタイプ)という人もたくさんいます。しかし、お酒が健康にとってマイナスになるとわかっていながら、お酒の魅力には勝てず、お酒をやめることができない人はもっとたくさんいるというのが現状なのです。

そして実は、どんなタイプの人よりも、リスクをわかっていながらやめられないタイプの人が、一番お酒によって健康を害するリスクが高い人であるということもまた事実なのです。

結論を言えば、酒は百薬の長ということば自体はもちろん正しいということにはなります。ただし現代人にとっては、そのことばの意味を正しく理解し、正しく行動に移すこと自体が非常に難しいと結論付けられるのです。

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