腎臓に関する数値は意外と知られていない!腎臓をデータで斬る!

生活習慣病の症状、予防方法、治療方法、データを知り、生活習慣病と向き合いましょう!
    

腎臓機能の低下を示す数値とは

腎臓機能の状態を知るためには、一般的な生活習慣病と同じように、血液検査をすることで判断できます。ただ、健康診断の結果が出ても、特に注意すべき項目がなければ、まるで暗号のようにしか見えない項目もたくさんあります。したがって、そういった項目はよくわからないままスルーされてしまうことが多いです。腎機能に関しても、比較的スルーの対象になりやすいと考えられています。

たとえば、糖尿病であるかどうかを判断する数値としては、空腹時血糖値の数値が重大な意味を持ってきます。また、肝機能の低下を知らせる数値といえば、ASTやALT、さらにはγ-GTPなどの数値が重要な意味を持ってきます。もちろん脂質異常症(高脂血症)の場合は、コレステロール値やトリグリセライド(中性脂肪)の値が重要な意味をもちます。

もちろん腎臓機能の状態を示す数値もちゃんとあります。腎臓に関連する数値として知られるのが、高尿酸結晶/痛風の指標となる尿酸値、そして尿素窒素の数値です。ただ、どちらも腎臓の機能そのものを知るための数値ではありません。肝機能と同様、腎臓の機能の状態そのものを示す項目は、クレアチニンと呼ばれるアミノ酸の血中濃度を示す数値になります。

尿酸も尿素窒素もこのクレアチニンもすべて老廃物として体外に排出されなければならないことになります。これらの物質が血中に高い濃度で残されているということは、身体のさまざまな臓器に問題があるということを意味しています。特にクレアチニンに関しては、腎機能の低下が顕著になってきているときに、その数値が上昇すると考えられています。

健常者のクレアチニンの数値は、男性が0.5~1.1mg/dL、女性が0.4~0.8mg/dLであるといわれています。クレアチニンは筋肉量に比例するために、自然と女性よりも男性のほうの数値が高くなるというのが大きな特徴です。また、年齢を重ねるごとに筋肉量が低下しますが、クレアチニンの数値は、腎臓の状態に変化がない限り、あまり変化をしないというのがひとつの特徴になります。

腎臓機能が低下するとやがて腎不全と呼ばれる最悪の状況に至りますが、腎不全に至るまでのプロセスにおいて、病院など医療機関では、腎臓機能の監視を目的として経過観察を必要と判断することが多いです。ちなみに、経過観察を要するクレアチニンの数値は、男性であれば、1.2~1.3mg/dL、女性であれば0.9~1.0 mg/dLであるとされます。

さらに状況が悪化し、男性で1.5mg/dLを超えると、腎不全であると判断されることになります。さらに悪化の傾向をたどり、2.4 mg/dLに至ると、これはかなり重度の腎不全であると判断されます。またさらに悪化をたどり、クレアチニンの数値が5.0 mg/dLを上回るようになると、これはもうよほどのことがない限り回復することはできないと判断され、10mg/dLを超えてくると、もうすぐにでも人工透析の必要が生じると判断されます。

このように、腎臓機能の状態を示す数値は、他の生活習慣病にくらべると、クレアチニンの血中濃度からかなり細かく段階的に状態が見極められることが多いといえるでしょう。

腎疾患に関する基本データ

それでは、腎疾患に関する基本的なデータを見ながら、腎疾患に関する近年の動向を検証してみたいと思います。

腎疾患の中でも、特に慢性腎疾患(CKD)について見ていきます。現在CKDを発症している患者さんの数は、1330万人に上ります。糖尿病患者の数が950万人といわれていますので、糖尿病を上回るCKD患者さんがいるというのは正直驚きです。おそらく同じように感じる方も多いでしょう。

それと、CKD患者さんの場合、クレアチニンの数値に関する注意も非常に重要になってくることは当然ですが、それ以外にも、尿たんぱくの陽性、陰性も非常に重要な情報になります。というのも、健康診断の尿検査などで尿たんぱくが陽性である場合、そのうちの5%~10%もの割合で、将来人工透析が必要になるというデータがあるからです。

透析をするようになってしまうと、生活そのものがかなり制約されます。もちろん透析をしないという選択肢がないわけではないですが、透析が必要な腎臓の状況であれば、飲み物や食べ物に気をつかうよりはむしろ透析をしてしまったほうがよいかもしれないという考え方があるにしても、やはり透析による負担は非常に大きいですから、尿たんぱくが陽性を示した人は、十分注意していただきたいと思います。

糖尿病腎症と人工透析治療に関するデータ

それではここからは、糖尿病腎症に関するデータについてまた新たにいろいろ検証してみたいと思います。

2013年のデータによると、国内の人工透析患者の数は30万人を大きく超え、31万4180人にのぼるとのデータが公表されていました。2012年のデータと比較してみると、実に4000人以上も上回る人工透析患者の数です。腎疾患患者が増加の傾向にあるのはとても心配な材料です。

このうち糖尿病が原因で腎疾患を発症している、いわゆる糖尿病腎症の罹患者数は11万5118人にものぼり、これは透析患者の中では最大のパーセンテージ(37.6%)を占めるというデータが公表されています。また、糖尿病腎症に次いでの原因は慢性糸球体腎炎で、その割合は32.4%にのぼります。人数になおすと9万9029人にのぼり、慢性糸球体腎炎による腎疾患患者は10万人に迫る勢いです。糖尿病腎症と慢性糸球体腎炎を合わせると、人工透析が必要な理由の7割を超えてしまうということですから、これらの疾患は、人工透析とは切っても切れない関係にあるといわなければなりません。

2013年1年間で新たに人工透析治療をスタートした患者さんの数は1万5837人にのぼりますが、そのうちの43.8%にも相当する人が、糖尿病腎炎が原因で人工透析治療をスタートすることになったとのことです。糖尿病腎炎に次いで多いのが、やはり慢性糸球体腎炎による人工透析治療ということになりますが、その割合が18.8%、患者数になおすと、6777人にのぼるとのことでした。

糖尿病腎症、慢性糸球体腎炎につづくのが、腎硬化症と呼ばれる高血圧性腎疾患になります。腎硬化症を2013年1年間で発症した患者数は4701人にのぼりますが、パーセンテージとしては13.0%になります。あまり耳にしない腎硬化症であっても、1割以上の人が人工透析のきっかけになっているというのは、腎硬化症を軽視することができないデータであるといえるでしょう。

ここまでは、非常に怖いイメージがある腎疾患に関するデータに着目してきましたが、やはり腎疾患は糖尿病とのかかわりがかなり密接であるという印象が強く残るのではないでしょうか。万一糖尿病を発症してしまったら、とにかく腎疾患の発症を警戒、予防のための対策をしておく必要があるといえるでしょう。

また、できることなら糖尿病を発症しないように、生活習慣には大いに注意を払いながら、日々生活していくということが重要になります。特に肥満症、メタボリックシンドロームなどを発症しているという人は、糖尿病のリスクが極めて高まりますので、健常者にくらべても、特に生活習慣にはしっかり注意していただきたいと思います。

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