腎臓機能障害に悩む患者さんにとってiPS細胞は救世主になるはず!

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PS細胞が万能細胞と呼ばれる理由

iPS細胞(人工多能性幹細胞)は再生医療の分野で注目されノーベル賞を受賞したことはみなさんもよくご存知かと思います。同じ再生医療のなかでも、やはりiPS細胞の威力は絶大であり、いろいろな細胞をiPS細胞によって再生することが可能であることから万能細胞などと呼ばれます。

従来であれば再生不可能であった細胞を再生することができるようになったことが、iPS細胞の存在意義であり、評価の対象でもあります。確かにイメージ的には、iPS細胞さえあればどんな病気でも完治することができるというように解釈されがちですが、しかし実際のところは、iPS細胞を利用した臨床試験を、かなりの時間を費やして行う必要があります。つまり、いくら万能でも、すぐに実用化することはできないのです。

しかし心臓や神経、腎臓などの細胞を再生することができるという方向性で臨床試験が進められているとするならば、それぞれの疾患を持っている患者さんにとっては、実用化に向けて研究が進んでいるというだけでも大きな望みであるように感じられることと思います。何しろ、壊死した状態の細胞が再生されるのですから、なるほどiPS細胞が万能細胞と呼ばれるのも納得でしょう。

中でも再生が難しいと考えられてきた腎臓組織の再生を目指して、現在万能細胞のiPS細胞の研究がより積極的に進められています。

iPS細胞による腎臓再生の研究

iPS細胞による腎臓再生の研究も、他の部位の再生の多くの研究と同様に、まずはマウスをつかった研究が第一段階です。ヒトiPS細胞から腎前駆細胞を生成し、これを急性腎障害(腎不全)を発症させたマウスの体内に移植する実験が行われます。

京都大学と大手製薬会社が共同で上記の研究を行っていますが、急性腎障害を発症しているマウスへの移植実験においては、マウスの腎不全を軽減するところまで実験を成功させているのです。これはやはり、多くの腎疾患患者さんにとって非常に強い希望の光ということになるでしょう。

というのも、従来の腎臓治療の分野では、腎臓組織を再生させることができなかったからです。iPS細胞によって、これまで不可能であった治療がいよいよ可能になるのかもしれないのです。特に、発症致死率が極めて高いとされる急性腎障害(腎不全)のように、塩分や水分量のアジャストが不可能なタイプの緊急を要する腎疾患に対して、iPS細胞による腎臓組織の再生に今後大きな期待がかけられることになります。

いくらiPS細胞が万能細胞であるとはいっても、マウス実験だけで直ちに実用化するというわけにはさすがにいきません。ですからこれから実用化に向けての研究と実験がさらにスピードアップすることになるはずです。

慢性腎不全にもiPS細胞が貢献する可能性アリ!

上記のように、急性腎障害(腎不全)に関しては、iPS細胞が非常に大きな力を発揮するのではないかと考えられていますが、一方で、慢性腎不全に関してはどうなのかということについても、非常に興味深いところでしょう。慢性腎不全というのは、急性腎障害(腎不全)を発症した患者さんのうち、腎機能が回復しなかった患者さんが主に発症することになる腎不全です。

万一慢性腎不全を発症してしまった場合には、腎臓移植をするか、人工透析治療を行うか、現状ではこの2つの道しか残されていません。ところが現状はどうかというと、腎疾患に罹患している患者さんであっても、人工透析治療だけは実施したくないと考える患者さんが多いのが実際のところです。

しかしそうはいっても、人工透析はしたくないから腎臓移植をしてくださいともしましょうとも簡単に言えるものではありません。また、仮に腎臓移植が可能な状況にあったとしても、やはり腎臓移植には非常に高いリスクが伴う治療方法であることに間違いありません。とすると、やはり実質的には、慢性腎不全の患者さんは人工透析治療が必要になると考えなければならないのです。

しかし、もしもiPS細胞による腎臓組織の再生が可能になるとすると、急性腎障害(腎不全)を改善することができるようになるのです。とすれば、その先のことは正直あまり考えていない、あるいは考えられないという人が多かったはずですが、iPS細胞の実用化によって、急性腎障害さえ改善できれば、その後慢性腎不全の状況に陥るリスクは最小限にとどめられるということに、ロジック上はなるはずです。これが、現状では改善不能の重篤な腎疾患に悩む患者さんが見ている明るい光の正体です。

もっといえば、従来的には人工透析治療か腎臓移植しか生き延びる道がなかったところに、新たに腎臓組織を再生することによって、再び腎臓として機能することができる臓器がつくられるというまったく新たな可能性が生まれるのです。非常につらい人工透析治療でも現実的な治療方法とはいえない腎臓移植という極めて限定的な方法でもない、iPS細胞という万能細胞の導入という新たな道は、腎臓病患者さんにとってはまさに明るく光り輝いて見えることでしょう。

iPS細胞による糖尿病治療にも光明

腎臓疾患を発症する原因にはいろいろなファクターが考えられます。中でも、糖尿病がきっかけとなって発症する糖尿病腎症は、糖尿病という膵臓の病気が影響を与えた結果引き起こされる腎疾患です。

糖尿病腎症の場合、腎疾患は腎疾患ですから従来の治療は可能ですが、糖尿病の治療とパラレルで行う必要がある病気であることもまた事実です。たとえば、糖尿病の症状が寛解(完治ではないものの、症状が落ち着き、健常者と大差ない状況)になれば糖尿病腎症が完治するかというと、これも正しくない発想になります。

特に、Ⅱ型糖尿病と呼ばれる糖尿病は、後天的な理由によって発症する生活習慣病のケースが圧倒的に多いですが、iPS細胞によって、Ⅱ型糖尿病の症状や病状が改善されるということについても、すでに関連の研究は進められているのです。糖尿病や腎臓疾患など、これまで幾多の研究が重ねられながらも、これらの生活習慣病に関しては、完治への道は常に閉ざされ続けてきました。寛解の状況にもっていくのが精一杯だったのです。

しかし、iPS細胞の登場によって、そうした問題が徐々に解決していっているという印象も正直あります。現状では、iPS細胞によってインスリンが生成され、分泌されるというところまでは、すでに研究によって実証されているのです。とすると、私たちにとってはもう完全に不治の病であったと考えられる糖尿病や、糖尿病腎症を含む腎疾患の治療は、今後新たなステージへと、万能細胞であるiPS細部とともに歩みをはじめようとしているという印象が非常に強いです。

という具合に、これまで不可能であると考えられてきたことが、ひとつの研究の成果から多大な功績を生みだすことになるのです。もちろん、STAP細胞の問題もあったため、さらなる大きな夢や希望は一時的に失われたことには間違いありませんが、上記のお話からも、iPS細胞だけでも、医療現場では数多くの不可能が可能に今後はなっていくことと思います。

今回は特に、腎臓機能障害に悩む患者さんにとっての明るいニュースという話題でお話してきました。まあ私たち一般人(患者側)がこのことを理解したところで何かが変わるわけではありませんが、今後の進展には私たち一般人にとっても、大いに注目が集まるところではあるでしょう。

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