なぜ?痛風罹患者がここ数年で急増している理由と背景に迫る!

生活習慣病の症状、予防方法、治療方法、データを知り、生活習慣病と向き合いましょう!
    

痛風・高尿酸血症罹患者の現状

生活習慣病というと、糖尿病やメタボリックシンドローム・肥満が代表てきな疾患であり、これらの病気をイメージする人が多いと思いますが、近年新たに注目しなければならない生活習慣病に、痛風・高尿酸血症の病名が挙がるようになってきました。高尿酸血症は、血中の尿酸値が基準(7.0mg/dL以下)を上回る生活習慣病ですが、この症状が継続することで、尿酸の結晶化が進行し、足の親指の付け根をはじめとする部位の神経を突き刺すような症状を発症します。

神経を突き刺すわけですから当然激痛をともなう症状を呈しますが、この症状を痛風と呼びます。風が当たるだけでも痛いというところからこのような病名で呼ばれるようになったとする説もありますが、正直、風なんてまったく吹かなくても激痛が走るのが痛風です。

痛風ガイドラインを見直すほどの増加率

痛風は、この25年間でその罹患者数が約4倍にも膨れ上がっています。また、1986年から2004年の20年間でも痛風患者数は3倍にのぼったとのデータがあります。こうした非常に大きな痛風患者数の増加率の影響で、2010年には痛風ガイドラインが改定されたほどですから、厚生労働省としてもその増加率には驚きが隠せなかったようです。

これだけ痛風罹患者数が増加している背景にはいったい何が隠されているのか、今回はこの点にターゲットを絞ってお話を進めます。

なぜ痛風患者が近年増加の傾向にあるのか?

痛風患者の数が増加の傾向になかなか歯止めがかからない状況ですが、その理由として考えられるファクターがいくつかピックアップされています。ここではその理由を説明します。

食の欧米化

ひとつに、食の欧米化という理由が考えられます。食の欧米化に関しては、痛風患者の急増時期と厳密な意味で合致しているかというと、必ずしもそうではありません。しかし、だいたいの一致を見るということに関しては正しいといえます。そのため、生活習慣の基底である食生活に、痛風増加の理由を求める研究者が多くなるのは当然のことです。

しかし、食の欧米化が進んでいることが痛風患者増加の理由のすべてであるとすると、痛風患者が増加しやすい年代や男女の性差が表れるというところに説明がつきません。痛風は、食材に含まれるプリン体という物質が大きく影響している生活習慣病ですから、食の欧米化が無関係とはとても言えないのですが、しかしそのことだけを痛風患者数増加の原因としてしまうと、明らかに一般性を失うことになります。

見逃せない遺伝子の変異

そこで近年注目されるようになってきているのが、遺伝子の変異による痛風発症リスクの増加です。痛風遺伝子と呼ばれる遺伝子ABCG2の発見によって、にわかに痛風治療の分野が新たな研究を進める動きがありましたが、その研究によって、ABCG2遺伝子には6つの変異パターンがあることもわかってきました。

痛風を発症しやすい人(主に男性)は、このABCG2遺伝子に変異が起こりやすい人であるということがわかってきたのです。研究の結果によりますと、痛風を発症する患者さんの8割に、ABCG2遺伝子の変異が認められたとの報告があります。しかも、そのうちの1割の患者さんは、痛風発症リスクが26倍にも跳ね上がる遺伝子変異が起こっているということもわかりました。

遺伝子レベルの話なので、ABCG2遺伝子の変異が痛風発症リスクを増加させていることはわかっても、ではなぜ、痛風患者数が急増するほどABCG2遺伝子の変異が起こるようになっているのかというところまでは、今のところ研究が進んでいません。とはいえ、ABCG2遺伝子の変異が痛風の発症リスクを大きく変えているということが解明できたということが、今後の痛風治療や痛風予防への大きな手がかりになることは間違いありません。

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