痛風の改善に意外な、しかし大きな手がかり!?痛風遺伝子について

生活習慣病の症状、予防方法、治療方法、データを知り、生活習慣病と向き合いましょう!
    

痛風についてのおさらい

痛風という病気は、血中の尿酸値が高くなる高尿酸血症(痛風予備軍)を継続することで発症する、激しい痛み(発作)をともなう生活習慣病です。風が当たるだけでいたいから痛風と呼ばれるとか、全身を風が吹き抜けるように痛みが貫く(痛みが移動する)というところから痛風と呼ばれるとか、病気の名称についてもいろいろな説があります。

いずれにしても、痛風に関しては、わかっていないファクターがいろいろあります。たとえば、肥満やメタボリックシンドロームを発症している人ほど痛風になりやすいというウワサがありますが、実はそこまで肥満やメタボリックシンドロームは問題ではないとの説もあります。また、若い人にくらべてある程度年齢を重ねたほうが痛風を発症しやすいといわれながらも、実は若い人の痛風は年々増加しているといった、従来のデータを覆すような近年の調査結果があったりもします。

とにかく発症すると恐ろしいくらいに痛いということは分かっていても、その病態に関しても、厳密な意味での原因についても、イマイチ痛風という生活習慣病には不透明な部分があるのです。

これを踏まえて、痛風と遺伝の関係について迫ってみたいと思います。痛風の発症にかかわるとされる遺伝子が、実は発見されたのです。

痛風と遺伝の関係

痛風は、従来そこまで遺伝との関係が密接であるとは考えられてはいませんでした。痛風というと、生活習慣病を代表する疾患のひとつですから比較的新しい病気であると考えられがちですが、実は、歴史的にはかなり古い病気であり、当時から生活習慣病のひとつに数えられていたというのは現在とほぼ同じであったという記録があるそうです。

遺伝的な要素はあまり考えられなかったのですが、近年食の欧米化が進み、徐々に痛風患者数が増加しているということから、生活習慣の中でも主に食生活が大きな問題となって痛風罹患者数が増えているのではないかとの考え方が有力視されるようになってきてはいました。

しかし食生活や食生活以外の生活スタイルが酷似しているにもかかわらず、一方は痛風を発症し、他方はまったく痛風の気配すらないという、好対照の結果を得たグループが多数存在したことから、これはどうやら、単なる生活習慣の差異だけでは痛風の発症原因として説明がつかないということで、遺伝との関係が模索されるようになったという側面もあるようです。

痛風遺伝子の発見

上記のような理由から、痛風と遺伝の関係が研究されるようになったわけですが、数々の研究の結果が得られた中で、非常に興味深い発見がひとつあったのです。それは、痛風を発症させるリスクを大きくする遺伝子の発見です。実は、5つの遺伝子が痛風の発症と大きくかかわっているのです。ただ、遺伝子の話になるとかなり専門的な知識が必要になるため、詳細についてはここで触れることは避けようと思いますが、いずれにしても、今後の痛風治療について、非常に大きな進展となりそうです。

痛風の治療といえば、やはり現段階では、最も有効な治療方法として挙げられるのが投薬治療になるわけですが、そのときの薬の選択の際に、実はこの痛風遺伝子が大きな意味を持つようになるのです。

痛風遺伝子には5つのタイプがあることが解明されましたが、その5つの遺伝子が、2つの痛風の病型に振り分けられることになります。その病型というのが、腎負荷型痛風と腎排泄低下型痛風という2つのタイプです。この病型ごとに採用される薬のタイプも異なるため、そのときに痛風遺伝子の有効性が大いに発揮されることになります。

どういうことかというと、そこには痛風という生活習慣病に特有の性質があるのです。その性質とは、痛風の薬というのは、痛風を完治させるのが目的ではなく、痛風の直接の原因となる尿酸値をコントロールするために投薬されるという性質です。しかし残念ながら、尿酸値をコントロールするためには、何種類かの薬を実験的に試してみて、ようやくコントロールできるようになるというケースが多いのです。

ですから、たとえば一発で進行を食い止めることができない場合が多いところや、効果が明確に現れるまではたいへんな苦痛を伴うところなどは、ある意味抗がん剤治療と似たところもあるのです。

ふつうの病気であれば、多少薬の効果が遅れたとしても、それはある程度仕方のないところと思えるはずですが、しかし痛風という病気の場合、非常に激しい痛みをともなうことが最大の特徴ですから、実験的に服用した薬では尿酸値をコントロールすることができませんでした・・・というようなことがあると、次の薬を試すまでにその激しい痛みと戦わなければならないことになってしまいます。病気の重特性という意味ではがんと比べるべきではないかもしれませんが、苦痛の大きさという意味ではどちらとも言い難い部分が正直あります。

しかし、痛風遺伝子の発見によって、発症した痛風のタイプが腎負荷型痛風であるのか腎排泄低下型痛風であるのかの判断が可能になるため、すぐに尿酸値をコントロールすることができる薬を選択することができるようになるのです。痛風を経験したことがあり、しかも、服用した薬ではまったく尿酸値がコントロールされなかったという経験をお持ちの患者さんからすれば、おそらくこのことがどれだけ大きな進歩であるかということをご理解いただけることと思います。

痛風遺伝子が痛風の予防を可能にする!

上記のように、とてつもなく激しい痛みをともなう痛風だからこそ、迅速な効果が発揮される薬をチョイスすることができる、痛風遺伝子の発見が大いに役立つのであれば、痛風に罹患している患者さんにとっては大きなメリットとなることでしょう。

しかし痛風遺伝子の発見は、従来であればほとんど論じられることがなかった痛風の予防というところにも、大きな期待がかけられることになるのです。痛風は生活習慣病を代表する疾患のひとつです。だからこそ生活習慣を改善することで予防するしかありませんでした。

しかし痛風遺伝子を参照することによってその人が痛風を発症するリスクが高いのか低いのかを判定することができるようになってきたという事実は、生活習慣病の中でもやや特殊なイメージがある痛風という病気の予防という面においては、非常に大きな効果が期待されることになるのです。

もちろん、痛風の発症リスクが単に判定できるというだけでなく、発症する病型まで痛風遺伝子から分析、予測することができるという点においても、投薬治療の精度を高めるという意味ではメリットが非常に大きいということになるのです。

激痛をともなう痛風という病気だけは、心疾患や脳疾患のような命の危険にかかわる緊急性はないものの、痛みから解放されたいという意味での緊急性が非常に高い生活習慣病です。そういった意味で痛風遺伝子の発見が大きく貢献するのであれば、痛風罹患者としてはとにかく喜ばしいことであるといえるはずです。

痛風が完治しない病気であるということは、明確な発症メカニズムがわかっていないことが原因です。しかし痛風遺伝子の発見によって予防への大きな手がかりがつかめるかもしれないという意味で、これもやはり痛風という難病の謎を読み解く上で大きな前進ということが間違いなくいえるでしょう。

ただ、唯一痛風遺伝子の発見による実質的なデメリットを挙げるとするならば、生活習慣を正さなくても痛風を予防、治療することが可能になってしまうところかもしれません。もちろんこれは、痛風患者にとってはある意味ぜいたくな悩みということにはなるでしょう。

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