ゆっくりよく噛んで食べることが重要!食べるスピードを考えよう!

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早食いは肥満のもと!が証明された

みなさんはおそらく、昔から、ご飯はゆっくり食べなさい、よく噛んで食べなさい・・・などと大人から教え込まれてきたことと思います。このことが事実であることが、研究機関の研究によってすでに証明されています。

おいしいものや大好物が献立に出されたりすると、うれしさとおいしさで食べるスピードに歯止めがかからなくなった幼少時のことを思いだします。そのたびに、母親にはよく噛んでゆっくり食べなさいと注意されました。その理由を訊いてみると、母親はいつもちょっとイヤそうな、そしてうっとうしそうな顔をして、急いで食べると栄養にならないからとか、あわてて食べるとへんなところに入ってしまうからといった、わかるようなわからないような生返事をすることが多かったです。

まあおそらく母親も、食べるスピードが速すぎることは良くないということを、その母親、つまりは私の祖母から教えてもらっていたのだと思います。そして、祖母だってきっと同じです。おそらくだれも正しい理由を知らなかったのだとは思いますが、理由を知っているかどうかにかかわらず、昔の人はほんとうに知恵が豊富だったのだな・・・などと痛感します。

昔の人は専門的な知識もなければ、研究だってすべて独自のやり方であったため、決して洗練されていたわけではないのですが、それでも正しい答えにたどり着くことができるというのが素晴らしいところです。現代人にはできないことを、昔の人はたくさんやってきました。しかし現代人には現代人のやり方で、正しい答えを導いたり、昔の人がのこしたことばの真偽を確かめたりすべきなのです。

ということで、現代人である私たちができることの一端として、昔から言われてきた、ゆっくりよく噛んで食べることが大切な理由についての研究結果を検証してみたいと思います。

食べるスピードによってカロリー摂取量が変わってくる!?

メタボリックシンドロームや肥満を発症する最大の原因といえるのが、食事の際のカロリー摂取量が多くなることです。もちろん、運動をするかどうかとか、基礎代謝の高さがどうかとか、あるいは遺伝はどうかなどといったいろいろなファクターがメタボリックシンドロームや肥満の発症と関係していることは間違いありませんが、ただ、直接的な原因となるのは、やはりカロリーの摂取量ということになります。

もちろん、運動や基礎代謝や遺伝なども、まったく無関係ではありません。ただこれらのファクターは、食事によって摂取したカロリーを代謝する能力のほうにかかわってくることになります。ですから、食事の際にカロリー摂取が多ければ多いほど、メタボリックシンドロームや肥満を発症しやすくなるというのは紛れもない事実です。

だからといって、生きるためには食べないわけにはいきません。それにカロリーだって摂取しなければ、生命維持活動は行われなくなってしまいます。ですから、食べること自体、すなわちカロリーを摂取すること自体を否定してしまえば、私たちは生きることができなくなってしまいます。

カロリー摂取量のセンサーは体内にある!?

ただ、過剰なカロリー摂取を継続すればすぐにメタボリックシンドロームや肥満を発症しますし、カロリー摂取量の上限を知らせてくれるセンサーのようなものは残念ながら未だ開発されてはいません。もちろん、私たちの体内に、センサーがないわけではありません。そのセンサーのひとつが、いわゆる満腹感ということになります。

正直、外的なセンサーは現実的に無理があります。だからこそはじめからカロリー計算をして献立を立てる管理栄養士のような人が非常に重要な意味を持つことになるわけです。しかし糖尿病の患者さんならまだしも、メタボリックシンドロームや肥満の予防のためにわざわざ管理栄養士さんに献立を依頼するというのも、費用対効果としては大きなデメリットといわなければなりません。

ですから、満腹感という体内センサーを大いに活用していただきたいという結論に至るのはごく自然なことです。ただ、満腹感の感じ方が人によってマチマチであるから厄介です。あるいは、自分の好きなメニューに関しては、たくさん食べても満腹感を覚えないことがあります。いわゆる別腹などと呼ばれることもありますが、いずれにしても、せっかくの体内センサーが作動するタイミングが、人やメニューによって変わってきてしまうというのは、ひとつの大きな問題であるといわざるを得ません。

ゆっくりよく噛んで食べるとセンサーは正しく作動する!

そんなときにぜひ実践していただきたいのが、昔からとにかくよく言われてきた、ゆっくりよく噛んで食べるということです。食べるスピードが速いと、どうしても摂取するカロリーの量が多くなるということが、近年の研究からわかってきたのです。昔の人は、このことにすでに気づいていたのかどうかはわかりませんが、とにかく、食べるスピードが速いとよくないということだけは、どういう事情かちゃんと知っていたのです。

結論から言えば、満腹感という体内センサーを正常なタイミングで作動させるためには、ゆっくりよく噛んで食べればよいということになります。ただ、なぜゆっくりよく噛むことで、体内センサーである満腹感を感じるようになるのか、ということについては、非常に不思議なことであるような気がします。そこには実は、満腹感というセンサーを作動させるためのトリガーのようなものが関係しているのです。

そのトリーがというのが、ダイエットに励んでいる人なら一度は耳にしたことがあると思われる、満腹中枢と呼ばれる器官なのです。

食べるスピードと満腹中枢の働きの関係

満腹中枢は、脳の視床下部の周辺に位置する器官です。食事の際に、ある条件に達することによって、満腹中枢が刺激され、体内センサーである満腹感を覚えるようになります。つまり、正常に満腹感という体内センサーが作動するためには、満腹中枢が刺激されるタイミングが正しく守られる必要があるということになります。

満腹中枢を刺激するのは、レプチンと呼ばれる生理活性物質です。このレプチンという物質の血中濃度が高くなり、正しく作用することによって、満腹中枢はしっかりと刺激されることになります。では、レプチンの血中濃度が高くなるためにはどういった条件が整わなければならないのかというのがひとつの大きなテーマになるわけです。

実は、レプチンという生理活性物質は、主に脂肪によって組織される物質なのです。レプチンの血中濃度が高くなるということは、脂肪が血中に溶け込んだ、その濃度が高くなることを意味します。ですから、たとえば血糖値のように、糖分の血中濃度が高くなるのとは事情が異なり、レプチンの血中濃度が高くなるためには、非常に時間がかかるのです。

ということは、満腹中枢を刺激するためにも、食べるスピードをゆっくりにして、時間をかけて食べるうちにレプチンの血中濃度を高めてあげる必要が生じることになります。これが、ゆっくりよく噛んで食べることのメリットとなるのです。もちろん、たくさん噛むことも、食べるスピードをゆっくりにするためには非常に効果的であるといえますし、実際、ゆっくり、たくさん噛むよってレプチンの血中濃度は高くなることが、研究で証明されています。

レプチンの働きをより敏捷にするために

できるだけ食べるスピードをゆっくりにしましょうといっても、いくらたくさん噛む食事のスタイルを確立することができたとしても、やはり食べるスピードというのは、その人が生まれながらにしてもっているものという印象も正直あります。ですから、食べるスピードをゆっくりにすることは、口でいうほど簡単なことではありません。2~3日は実行できたとしても、すぐに元に戻ってしまった・・・という経験をした人も実際多いと思います。

ですから、私たちが食べるときにする努力だけでなく、レプチン自身にも少し敏捷な働きができるようになってもらいたいというのが実際のところでしょう。そういう方法がまったくないわけではありません。そのためのひとつのヒントが、レプチンが脂肪組織であるという物質特性の部分にあると考えられます。

レプチンが脂肪でできているのに、私たちの体脂肪が高くなってしまうと、せっかくレプチンが血中に入り込んだとしても、満腹中枢は機敏に刺激されません。つまり、満腹中枢の刺激をより機敏にするためには、私たちの体脂肪を減らしてあげることが重要であるということになるのです。

私たちのダイエット効果を高めるためにレプチンの働きを敏捷にしたいわけで、レプチンの働きを敏捷にするためにはダイエットをしなさいというのも何とも皮肉なのですが、実際問題として、一度ダイエットに成功すれば、あとはレプチンの働きが敏捷になりますので、満腹中枢も過敏に反応してくれるようになります。少なくともリバウンドは起こりにくいということはご想像いただけるのではないかと思います。

ダイエットをするためにはダイエットをすればよいに決まってはいますが、ダイエット成功後の体脂肪ケアのためにも、レプチンの敏捷性はできるだけ高いレベルでキープしたいところです。

もうひとつ、食欲中枢にも注目!

食欲をコントロールする重要な器官として、脳の視床下部にある満腹中枢が重要な働きをしていることについてここまでお話してきました。実はもうひとつ、同じく脳の視床下部に位置している食欲中枢と呼ばれる器官も、ダイエットの成功のカギを握っています。今度はこの食欲中枢についても簡単にお話を加えておくことにしましょう。

食欲中枢というのは、満腹中枢とはまったく逆の働きをする器官です。つまり、食欲を増進する上では非常に重要な機能を果たすのが食欲中枢です。食欲中枢は、胃で分泌されるホルモン物質であるグレリンと呼ばれる物質が一定量以上分泌されることで刺激を受け、食欲が湧きだすことになります。

ダイエットの効果を高めたい人にとって、このグレリンの働きを鈍化させることが非常に重要であるというふうに、ここまでの説明で感じることと思います。しかしグレリンは、空腹時にちゃんと脳が空腹を感じるように仕向けるための非常に重要な働きがあるといえます。つまり、生命維持活動が正常に行われるためにも、グレリンというホルモン物質は非常に重要な働きをしていることも忘れてはいけません。

ただ、ダイエットではやはり多少なりともこのグレリンの働きを何とかしなければならないというのも実際のところでしょう。そして、そのための対処方法のひとつが、私たちの生活習慣の基盤である睡眠にあると考えられているのです。睡眠をしっかりとることで、グレリンの過剰な働きを抑制できるようになるのです。

実際、睡眠不足が慢性化している人には肥満が多いなどということも言われます。このあたりも、もしかしたら睡眠不足によってグレリンの働きが活発すぎてしまうことが少なからず影響を与えているのかもしれません。

ということで、今回は、特に女性にとっては非常に興味深いお話であるダイエットにかかわる重要なヒントについて、テーマとしました。特に食事や睡眠といった生活習慣の基底部にあたるファクターが、思われる以上に重くかかわってくるということがご理解いただけたかと思います。であるとすれば、生活習慣を見直すことが、有効なダイエットにもつながる近道である可能性が高いことになります。ダイエットを志す人は、ぜひ参考にしていただき、実行に移していただきたいと思います。

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