肥満の人は中性脂肪値に要注意!肥満と中性脂肪の関係を知ろう!

生活習慣病の症状、予防方法、治療方法、データを知り、生活習慣病と向き合いましょう!
    

肥満が生活習慣病のリスクを上昇させる理由

肥満になると、中性脂肪値が上昇しやすいということが、近年の研究によって解明されました。中性脂肪値が上昇することによって、いろいろな不都合が生じ、何らかの対策を講じなければ、後々命の危険をともなうことも珍しくありません。

現代の医学では、肥満自体がすでに生活習慣病であると判定されます。そして、肥満を発症すると、それ以外の生活習慣病のリスクが急上昇することも指摘される患者さんが多いです。肥満になればいろいろな生活習慣病を発症するということは当たり前であると感じる人は多いでしょう。しかし、なぜ肥満になるといろいろな生活習慣病のリスクが上昇するのかということについては、あまり踏み込んで考えない人が多いことも事実です。

当たり前のことは当たり前というところで終わってしまうことが多いですが、命にかかわることですから、当たり前で済ませてしまうのも少し問題がある気がします。肥満になると、命の危険が及ぶような身体の変化が起こるということも、今回しっかりと理解していただきたいと思います。

そして、肥満が怖い生活習慣病を発症させる理由は、冒頭で触れた中性脂肪が大きく関係しているのです。

中性脂肪の上昇と生活習慣病のリスク

中性脂肪が上昇すると、生活習慣病のリスクが上昇します。中性脂肪が上昇することによって、コレステロールのバランスが崩れやすいからです。簡単に言えば、トリグリセライド(中性脂肪)の濃度が高くなることによって、悪玉コレステロールが増加し、善玉コレステロールが減少しやすくなるのです。特に、善玉コレステロールが減少する傾向が強く見られます。

善玉コレステロールが減少すると、悪玉コレステロールによる動脈硬化のリスクを軽減することができなくなります。逆に言えば、多少悪玉コレステロールが高くても、善玉コレステロールもある程度高ければ、動脈硬化からの心筋梗塞や脳梗塞のリスクを軽減させることができるのです。

善玉コレステロールと悪玉コレステロールのバランスをLH比で表すことが増えていますが、LH比が小さければ多少悪玉コレステロールが高くても、動脈硬化のリスクはそれほど高くないと判断されるケースが近年は多いのです。

いずれにしても、中性脂肪の数値が高いと、善玉コレステロールが低くなりやすいため、上記に示したようなリスクが大きくなると考えられることになります。そして、中性脂肪の数値が上昇するひとつの原因として、肥満が挙げられるのです。

肥満が中性脂肪を増大させるワケ

肥満や中性脂肪増加の怖さをご理解いただけたところで、ここから本題に入っていきましょう。肥満が中性脂肪を増大させる理由について迫りたいと思います。中性脂肪は脂肪なのだから、脂肪が増加すれば肥満になるのは当たり前のこと・・・と誤解されてしまうことが多いですが、今回のテーマは、脂肪が中性脂肪を増加させる理由についてです。つまり、脂肪が肥満を招くのではなく、肥満によって中性脂肪を増大させるナゼについての説明になります。

肝臓と脳が深く関係している!

中性脂肪は、体脂肪とは別ですから、脂肪が多いから肥満になるというような簡単な話ではありません。肥満が中性脂肪の増大を誘発する背景には、かなり深い原因が隠されているのです。実は、肥満が中性脂肪を増大させるメカニズムには、肝臓や脳の働きが大きくかかわっているということが分かってきています。

肝臓は、私たちが口から摂取した食料や飲料などの栄養素が一旦蓄積される器官です。その栄養素の中で、アミノ酸の増加を知らせる信号が脳に伝達されることが、研究によって発見されました。研究は、マウスを肥満にさせることなく、マウスの肝臓のアミノ酸だけを増加させることによって、マウスの血中の中性脂肪の数値を調べるという方法で行われました。

その結果、マウスは肥満を発症していないにもかかわらず、マウスの肝臓のアミノ酸の増加によって、血中の中性脂肪の数値が高まることが確認できたのです。そのメカニズム詳細を調査したところ、肝臓のアミノ酸の増加を伝える信号が、自律神経系を経由して、マウスの脳にキャッチされることがわかりました。

そして、信号をキャッチした脳は、血中の中性脂肪の分解をストップさせるよう命令を発しているというメカニズムを研究グループが突き止めたのです。

肥満が中性脂肪を増大させるメカニズムのまとめ

少し話が込み入ってきていると思いますので、ここで一度これまでお話した、肥満が中性脂肪を増大させるメカニズムをまとめてみることにします。

  1. 肥満によって肝臓のアミノ酸量が増加する
  2. 肝臓のアミノ酸量が増加したという信号が自律神経系を経由して脳に達する
  3. アミノ酸増加の信号をキャッチした脳が、血中の中性脂肪を分解する指令を遮断する
  4. 中性脂肪が増加する

肥満と中性脂肪増大のメカニズムは、上記のようになります。

 

センサーとしての肝臓の役割

肝臓は、運ばれてきた血中の成分を代謝・解毒する作用だけでなく、アミノ酸量に対するセンサーの役割があるということが、上記の研究から証明されました。しかも、肝臓が関知して発したセンサー機能が脳の働きに影響を与えているというところまで解明されたのです。

日本人のみならず、世界規模で見ても、肥満やメタボリックシンドロームに悩む人が多いです。肥満やメタボリックシンドロームを発症している人々にとって、最大の問題となる動脈硬化のリスクを軽減することができる可能性が、こうした一連の発見によって大きく広まったといえます。

もちろん、この研究結果を基に、有効な薬やサプリメントが開発される日は遠くないと思われます。そのくらいの大発見であったのは間違いありません。ただ、こうした事実を知った私たちにとって、より大切なことは、そういった薬やサプリメントに頼ることなく、まずは肥満にならない生活習慣を送ることです。

将来の新薬やサプリメントの開発への貢献は素晴らしいことですが、知識を得た私たちは、自力で動脈硬化(そして心疾患や脳疾患)からのリスクを脱するための非常に大きなヒントを得たということになるはずです。

命にかかわり、しかも緊急性の高い生活習慣病を回避するために私たちが今すぐできる努力は、肥満にならないような生活習慣を身に着けることなのです。

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