慢性腎臓病の発症のリスクを理解し、しっかりと予防をしよう!

生活習慣病の症状、予防方法、治療方法、データを知り、生活習慣病と向き合いましょう!
    

慢性腎臓病(CKD)について

腎臓病にもいろいろな種類がありますが、どれも非常にやっかいな病気です。今回お話するのは、そうした腎臓病の中でも、慢性腎臓病と呼ばれる病気についてです。慢性腎臓病は、CKDとも呼ばれ、慢性腎臓病の英名であるChronic Kidney Diseaseの頭文字を採用した略称です。慢性腎臓病というよりも、CKDのほうが呼称としては近年は一般化されている印象があります。

略称が呼称として一般化される病気ですから、慢性腎臓病(以下CKD)は、そう珍しくない病気であるということにもなります。CKDは日本国内で1300万人を超える罹患者数(成人8人に1人の割合)にのぼるということで、その知名度以上に罹患者が多く、実は私たちにとっては、そのイメージほど縁遠い病気ではないのです。

では、ここからはCKDという病気のいろいろな特徴や性質について、具体的なお話をしていきたいと思います。

まずは腎臓の基本的な機能を知る

腎臓という器官は、ひとことで言えば、運ばれてきた血中の老廃物を漉(こ)しとる役割を果たしています。この老廃物が、尿という形で体外に排出されることになるわけですが、その直前に位置している器官が腎臓です。ただし、尿の問題は、もちろん腎臓が原因になる場合もありますが、あくまでも膀胱などの泌尿器の問題であるといえます。腎臓はあくまでも血液の問題とのかかわりがある循環器という解釈が適切でしょう。

腎臓のトラブルが大きく影響するのは、血液です。循環器がトラブルを起こせばだいたい血液に大きな問題が生じることになるわけですが、腎臓はその最たる器官であるといっても過言ではありません。要するに、もし腎臓が正しく機能しなくなってしまうと、血中の老廃物や毒素がそのまま身体中を循環することになります。とすると、CKDはとてつもなく重大な疾患なのです。

CKDの病態について

CKDはあくまでも慢性疾患ですから、急に症状が悪化して、いきなり生命の危険にさらされたり気を失ってしまったりとった症状は、ふつうは考えられません。ただ、徐々に進行していく病気にもそれなりの怖さがあります。発覚が遅れてしまうという怖さです。CKDを発症して間もないころにはほとんど自覚症がありませんので、健康診断や血液検査などによって、何らかの兆候を見つけるという考え方が大切になります。

ただし、発見が遅れることによって、よく知る腎臓病(最も重篤なのが、腎不全)と同じ病状に至ることになりますので、そうなってしまうと、いわゆる尿毒症、足のむくみなどを発症します。この状況に至ると、もう透析治療以外に治療の道はありません。治療というよりは、生命維持のための行為です。呼吸と同じくらいの必要性が、重度CKD患者さんにとっての人工透析にはあるのです。

また、腎臓疾患の場合、透析を受ければ生きていけるというほどシンプルでも生易しくもありません。というのも、血液の影響によって透析治療の前に心疾患や脳疾患を発症し、場合によっては致命的なダメージを受けてしまうこともあるからです。そういう怖い病気であるということを理解すると同時に、そういう状況に至らないためにどうするかを考えておく必要があるということも重要になります。

このように、非常にやっかいなCKDですから、その予防は特に重要ですし、万一罹患・発症してしまったとしても、これをいかに治療するかということに関しては、まさに死活問題ということになります。

CKDの予防方法と治療方法について

CKDにはならないに越したことはないわけですから、とても怖い病気であるということをまずはしっかりと理解し、その上で予防をしていただきたいと思います。また、万一CKDを発症してしまったとしても、それ以上悪化させず、その状態を維持していくこと、つまりは病気と上手につきあって行くことが大切であるともいえます。

CKDの予防方法について

まずは糖尿病にならないことが、最大の予防方法であるといえます。というのも、このCKDという病気は、糖尿病の合併症として発症する可能性が極めて高い病気だからです。糖尿病の罹患人口が非常に多いため、糖尿病にかかればその多くがCKDを発症するといった安易なことは言えません。しかし上でも触れたように、CKDという病気は私たちが想像する以上に罹患人口が多いという事実があります。その原因の一端は、糖尿病にあると考えるべきなのが、CKDという病気なのです。

もちろん、糖尿病にならなければCKDにはならないというわけでもありません。たとえば、糸球体腎炎など、腎臓そのものにトラブルが発生した結果CKDを発症してしまったという症例もあります。ただ、CKDを発症する割合を考えたときに、糖尿病経由でCKDを発症する患者さんのほうが多いので、CKDを予防するには、まずは糖尿病予防という考え方が大前提になるといえるのです。

CKDの場合、なぜ生活習慣病に属するのかというと、糖尿病の合併症として語られることが多いというのが最大の理由になります。生活習慣病の代表ともいえるのが糖尿病ですから、糖尿病を経てCKDを発症するとなると、CKD自体も生活習慣病であると解釈せざるを得ません。

以上から、CKDを予防するためには、まずは糖尿病にかからないように、生活習慣を上手にコントロールしていただきたいと思います。

また、血圧とも大いに関係してくるのがCKDという病気の特徴です。これについての詳細はこのあとお話する治療のところで説明することになりますが、血圧が高すぎないということも、CKD予防の大前提になるということをつけ加えておきます。

CKDの治療方法について

上で触れたように、CKDをすでに発症してしまった患者さんにとって、血糖値の徹底管理が何よりも重要です。ですからCKDの治療は、血糖値の管理とともに進めていくことになります。そういった意味では、CKDの治療は糖尿病治療の延長上にあると考えることができる部分もあります。

ただし、血糖値だけの問題であれば、それは糖尿病と変わらなくなってしまいます。CKDという病気は、血糖値だけの問題ではない場合も当然あります。CKDの治療では、実は血圧の管理も必要になってくるのです。ただし血圧については、糖尿病の有無、尿たんぱくの陰陽によってもコントロール基準が異なってきます。これについてさらに詳しく見ていきたいと思います。

糖尿病患者さんもしくは尿たんぱくが陽性の患者さんの場合

CKDの場合、糖尿病を発症している患者さんが多いということについては、すでにお話してきたとおりです。ただ、糖尿病を発症していない患者さんであっても、尿たんぱくが陽性の患者さんについては、血圧のコントロールが糖尿病患者さんと同じ扱いになります。

このケースで許容される血圧の範囲は、収縮期血圧が130mmHg未満かつ、拡張期血圧が80mmHg未満です。ですから、健常者の理想といわれる血圧の範囲内であれば問題ないだろうという目安にはいちおうなります。

糖尿病患者さんではなく尿たんぱくが陰性の場合

一方、糖尿病に罹患していない患者さんで、なおかつ、尿たんぱくが陰性であるという患者さんの場合、CKDを治療する上でコントロールしなければならない血圧の範囲は、収縮期血圧が140mmHg未満かつ拡張期血圧が90mmHgであるとされます。

ただ正直なところ、年齢にもよるので一概には言えないところもありますが、収縮期血圧にしても拡張期血圧にしても、140mmHg、90mmHgは多少なりとも高い数値になっていますので、治療自体は問題ないかもしれませんが、できるだけもう少し低い血圧を上下ともキープしていただきたいというのが本音です。

以上が、慢性腎臓病・CKDについてのお話です。おそらくこの病気のことを詳しくご存知だったという人は少ないと思いますが、特に日本人には多い病気ですので、血糖値が高めである、あるいは血圧が高めであるという人は、十分注意していただきたいと思います。また、CKDの予防の意味を込めて、生活習慣の見直しを徹底するところから、改善していただきたいと思います。

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