無症状の脂質異常症はデータを頼って対処していくしかない!

生活習慣病の症状、予防方法、治療方法、データを知り、生活習慣病と向き合いましょう!
    

脂質異常症についてのさまざまなデータ

健康診断をして数値から判断しないと、無症状である脂質異常症(高脂血症)の有無は不可能です。万一脂質異常症が原因で何らかの疾患を発症したなら、それは重篤な症状として姿を現すことになるはずです。

ですから、同じ生活習慣病の中でも、脂質異常症は血液検査などからデータを参照して状況を把握しておくことは非常に重要であるといえます。そこでまずは、脂質異常症であるかどうかの基準を、数値から整理しておくことにしましょう。

健常者の数値は、LDLコレステロールが140mmHg未満、HDLコレステロールが40mmHg以上、トリグリセライド(中性脂肪)が150mmHg未満ということになります。これらの条件のうちひとつでも異常値があると、その時点で脂質異常症(高脂血症)ということになります。

それでは、ここから脂質異常症に関するさまざまなデータを見ていきたいと思います。

脂質異常症に関する基本データ

脂質異常症の罹患者数・・・188万6000人(男性52万5000人、女性136万1000人)

脂質異常症は生活習慣病ですから、当然脂質異常症に罹患することによって、将来的に新たな生活習慣病のリスクが高まります。その生活習慣病とは、主に心疾患(狭心症、心筋梗塞など)であり、生命のリスクが高まるとの認識が必要になります。では、具体的なリスクについて、コレステロール値やトリグリセライドの数値などから検証してみたいと思います。

まずは、LDLコレステロール値からですが、LDLコレステロール値が140mmHgになると、狭心症や心筋梗塞をはじめとする心疾患を発症するリスクが、健常者(ここではLDLコレステロール値が80mmHg未満の人)にくらべると、2.8倍にもおよぶと言われています。

ただ、LDLコレステロール値が140mmHgを超えている人であっても、その数値が2~3割低下することによって、狭心症や心筋梗塞のリスクが3割程度軽減されるといわれていますので、努力してLDLコレステロール値を下げるだけのことはあるということがいえます。

次に、トリグリセライド(中性脂肪)の数値についてですが、こちらもやはり狭心症・心筋梗塞をはじめとする心疾患へのリスクが高まるリスク因子となっています。トリグリセライドの数値が165mmHgの人の場合、健常者(ここではトリグリセライドの数値が84mmHg未満の人)とくらべると、上記心疾患のリスクは実に2.9倍にもふくれあがると考えられています。

加えて、心疾患(特に狭心症と心筋梗塞)のリスクを他の生活習慣から検証してみますと、やはり塩分摂取量の多さが大きく影響してくることになってきます。塩分との関係ですから、もちろん高血圧との絡みが考えられます。塩分を過剰摂取することによって、高血圧を経由して、心疾患を発症するリスクが高まるものと考えるべきです。

そして、上記のコレステロール値やトリグリセライド値を合わせて考えると、やはり、塩分をひかえめにした日本食中心の食生活を心がけることが、心疾患へのリスクを軽減するための大きなヒントになってくると言えそうです。

年齢別に見る脂質異常症

生活習慣病は、その発症率(発症リスクとも言い換えられます)と年齢が比例する印象がありますが、脂質異常症に関しては、特に高齢化社会の日本においては、必ずしも年齢が高ければ高いほど発症率・発症リスクが高まるという性質の生活習慣病ではありません。脂質異常症は、食生活と運動習慣が大きく影響してきますので、比較的若い世代から発症率が高くなりはじめるというのがひとつの傾向になります。

脂質異常症が最も多いのが、70歳以上75歳未満の年齢層で、この階級における脂質異常症検診受診者10万人あたりの罹患者数は354人になります。これに次ぐのが、75歳以上80歳未満の年齢層で、同351人という割合になります。そして、65歳以上70歳未満で309人、80歳以上85歳未満で286人・・・という具合に、60代の年齢層の人が脂質異常症の罹患率を高くしているということが、非常に特徴的であるといえます。

また、脂質異常症に対する関心がここ数年で非常に高まってきており、平成20年以降は脂質異常症の検診受診者が急増してきているという特徴があります。やはり生活習慣病の中でも、高血圧症と並んで、この脂質異常症が重要な意味を持つということが、意識に現れているという印象があります。これは非常によい傾向であるといえるでしょう。

血清総コレステロールの平均値について

平成26年のデータによると、血清総コレステロールの平均値は、男性が196.6mg/dL、女性が207.2mg/dLとなっています。また、血清総コレステロールが240mg/dLを上回る脂質異常の比率はどうかというと、男性が10.8%、女性が17.4%になっており、これらの平均値や脂質異常比率は、ここ10年間でそれほど大きな変化が見られていません。

ただ、ここ数年の脂質異常検診受診者が急増しているにもかかわらず、血清総コレステロール値も脂質異常比率もこの10年間で大きく変化していないということは、意識が高まり、何らかの策を講じているにもかかわらず、なかなかその成果が結果として現れていないということを暗に示す数値でもあります。

つまりそこから推測できることは、それだけ脂質異常症の予防、改善が簡単でないこと、そして脂質異常症の治療はかなり難しい部分があるということを意味しているということになります。

今回は脂質異常症をデータの面から分析してきましたが、やはり心筋梗塞や狭心症などといった命に直接かかわりがあるのが脂質異常症という生活習慣病であることが示されました。したがって、できるだけ若いうちからコレステロール値の変化に注意を払い、上手にコントロールできる食生活、運動習慣を身につけていただきたいと思います。そのためにも、今回ご紹介したデータをぜひ参考にしていただきたいと思います。

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