血糖値との関係を深く理解し、糖尿病を予防し、治療していこう!

生活習慣病の症状、予防方法、治療方法、データを知り、生活習慣病と向き合いましょう!
    

糖尿病と血糖値について

糖尿病は、常時血糖値が高くなる生活習慣病です。糖尿病自体、特に初期的な段階では自覚症状が表れないため、多少血糖値が高いくらいは別に気にしなくてもよいと軽んじてしまう人もいます。しかし、これはたいへんな誤りです。糖尿病の悪化によって合併症を発症すると、生命の危険が迫ることもあるからです。まずは血糖値ということばから説明します。

血中の糖分の濃度が高すぎることで、身体にいろいろな支障をきたすことになります。血中の糖分の濃度のことを血糖値と呼びます。血糖値が高すぎる状態が継続すると、糖尿病を発症し、さまざまな生活習慣病の原因になります。しかし低すぎると、今度は低血糖と呼ばれる非常におそろしい状況に至ってしまいますので、血糖値というのは、私たちの健康のバロメーターとなる非常に重要な数値になります。

低血糖に関しては、たとえば糖尿病の患者さんがインスリン注射(血糖値を下げるための注射)を行う際に、分量を間違えて過剰にインスリン接種を行うことで発症しやすい症状です。ですから低血糖は、どちらかといえばかなり特殊なケースであるといえます。したがって、低血糖のほとんどが、生活習慣病とは異なる疾患であると解釈されます。もちろん、低血糖の場合は糖尿病にも属しません。今回は、血糖値が高い糖尿病をテーマにお話しします。

血糖値の正常な範囲について

血糖値は、食事をしたり、ちょっと甘いものを食べたり、あるいは過度なストレスを感じたりした直後には、比較的数値が上昇しやすいといわれています。ですからそういったタイミングでは、その人にとって正しい血糖値を知ることができません。血糖値を測定するためには、空腹時血糖と呼ばれる、空腹時の血糖値が採用されることが多いです。

血糖値を測定する際には、一般的には、10時間以上の絶飲食(水だけは可、それ以外は一切不可)の状態で血液検査を行うことが多いようです。このあたりの検査の詳細については、何を目的に血糖値の検査を行うかによっても絶飲食の時間が異なることもあります。

健常者と呼ばれる人の空腹時血糖は、80~110mg/dLが正常値であると考えられています。しかし血糖値というのは、上でもお話しましたが、体調や食事の摂取状況によっては多少数値が前後しますので、140mg/dLを超えることがあれば、確実に血糖値が高すぎる、すなわち高血糖であると診断されることになります。

そして、その高血糖の状態が一定期間以上継続することによって、その人は糖尿病であると診断されることになるのです。

糖尿病の症状と余波(合併症)について

糖尿病の特徴のひとつは、血糖値が高いだけでは何の痛みも苦しみも感じないというところにあります。病気やケガでは不快感や苦しみ、痛みを感じるのがふつうですが、生活習慣病の場合、特に初期段階で自覚症を伴わないことも多いです。糖尿病もそんな生活習慣病のひとつです。

高血圧や脂質異常症など、自覚症状がまったく、あるいはほとんどないのは、生活習慣病に特有の無症状です。ただ、高血糖が継続することでとんでもなく大きなダメージを全身のありとあらゆるところにおよぼすことにもなってしまうのが、糖尿病で最も警戒すべき特徴であるといえます。

糖尿病の余波は、全身のさまざまな箇所におよびます。最も多いとされるのが、糖尿病網膜症です。網膜というのは、私たちの目の中にあるパーツですが、糖尿病網膜症が進行すると、失明(視力を失う)こともあるほど怖い病気です。また、糖尿病腎症は、生きながらえるために人工透析が必須(週3回前後、毎回半日ほど時間が必要)という、精神的にも身体的にも非常にシビアな病気です。

他にも、糖尿病神経障害(手足のしびれや全身に起こる不調)が進行して手足の先端が壊疽(えそ)してしまい、切断しなければならなくなってしまうような、とても怖い合併症を発症することがあるのも糖尿病の大きな特徴です。もちろん、血糖値が高いからといって、それだけで直接命が奪われてしまうようなことはほぼありません。しかし血糖値が高いことで、血管は確実にダメージを受けますので、結果的に命が奪われてしまうことになるのです。

糖尿病の予防方法と治療方法について

生活習慣病の中でも、比較的重篤でない疾病に関しては、予防の延長に治療があることになります。しかし糖尿病クラスの重篤な疾病ともなると、同じ生活習慣病であっても、予防と治療とではかなり大きく方法が異なることになります。ですから糖尿病に関しては、予防と治療を完全に分けて考えることになると理解しておいたほうが無難です。それでは、糖尿病の予防方法から見ていくことにしましょう。

糖尿病の予防方法

糖尿病の最大の問題は、血糖値の上昇にあります。ですから、糖尿病を予防するためには、血糖値を上げないようにすること、そしてさらには、血糖値が上昇しにくい体質を手に入れること、このふたつが目指すべき糖尿病の予防方法ということになります。前者の、血糖値を上げないようにするという方向性での糖尿病予防は、生活習慣の中で、たとえば食事や運動習慣を見直すことで、比較的実現しやすい条件であるといえます。

ところが、血糖値が上昇しづらい体質を手に入れるのは、正直そう簡単なことではないといえるでしょう。血糖値にしてもそれ以外のものにしても、体質というのは簡単なことでは代えられないのです。そこで、まず考えなければならないことは、そもそも血糖値が上昇しづらい体質とは、どういった状況で手に入れることができるようになる体質なのか、ということです。

血糖値を上げないためには、食事の量を減らす、飲酒量を減らす、そして糖質の摂取を制限する、運動をしっかりと行うなどの方法が考えられます。しかもこれらの注意点を今後永久的に生活習慣として導入することが大切です。こうした生活習慣を身につけるとことで、糖分代謝を盛んにする(要するに、摂取した糖分によるエネルギー効率を高める)ことができるようになります。そうなったとき、はじめて血糖値が上昇しづらい体質を手に入れたといえるでしょう。

血糖の代謝に大きく関係しているのが、膵臓で分泌されるインスリンという物質です。インスリンは、血糖をエネルギーに変え、消費しきれない糖分を血中に送り込むなど、非常に重要な役割を果たしているホルモン物質です。インスリンの働きが活発でありさえすれば、基本的には糖尿病になりづらいといえるのです。つまり、血糖値が上昇しづらい体質というのは、インスリンが活発に活動する体質であると言い換えることができます。

これに対して、インスリンが十分に機能しない体質(インスリン抵抗性)だと、糖尿病になりやすいといわれます。特に内臓脂肪型肥満(いわゆるボッコリおなか)の状態の人の場合、その傾向がより顕著になりますので、警戒が必要です。

糖尿病の治療方法

すでに一定期間以上の継続的な高血糖が認められた患者さんは、もうすでに糖尿病を発症していることになります。この段階になったらただひたすら治療をする以外にありません。ただ、ごくごく軽微な糖尿病であれば、生活習慣の中で血糖値を下げる努力をすることで、前述の予防と同じような感覚で治療をすることが可能になる場合もあります。ですからまさに、生活習慣を見直し、徹底的に改善するというアプローチが、ごく軽微な初期的糖尿病の治療方法ということになります。

しかし糖尿病が進行し、すでにさまざまな器官にダメージが及び始めているという患者さんからすれば、そんなに悠長なことを言っているわけにはいきません。かなり厳密な食餌療法を導入したり、インスリン注射を導入したりといった本格的な治療が必要になる場合が多いです。他にも、運動療法を取り入れるケースも多いのが重度糖尿病治療の特徴であるといえます。

糖尿病の本格治療については、単にインスリン注射をすればよいというわけではありません。インスリン注射を行うのは、あくまでも対症療法にしかすぎません。糖尿病腎症の患者さんが人工透析を受けるのと原理的には同じことです。糖尿病を根本的に改善するためには、とにかく体重を落として血糖値を正常化させることが重要になります。

しかし、重度の糖尿病を発症した場合、他の器官にダメージが及ばないうちに、厳しい減量に励まなければなりませんので、一般的にはかなり厳しい治療になるといわれます。精神的にも身体的にも非常につらく厳しい治療になるのが、糖尿病という生活習慣病の最大の特徴になると考えておくべきでしょう。そうならないためにも、普段から血糖値を意識した食生活を送り、運動習慣を身に着けることが重要であるといえるのです。

糖尿病の治療を行っている患者さんについては、その糖尿病治療が順調に進められているかどうかを検証するために、血液検査結果のHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)と呼ばれる数値の動向を確認し、これを治療効果の判断の基準にします。上でもお話した糖尿病の合併症のリスクを検証するためには、このHbA1cの数値が非常に重要になってきます。

また、糖尿病の種類については、実は1種類だけではなく、複数の種類があります。

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