バター、肉の脂に代表される動物性脂肪はほんとうにNGなのか!?

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脂肪は重要なエネルギー源!

私たちにとって、脂肪は非常に重要な意味を持つ物質です。脂肪は燃焼剤、すなわち重要なエネルギー源になるのです。ですから、近年特に動物性脂肪を豊富に含む食材(肉の脂など)や調味料(バターなど)が嫌われる傾向にあるのも、その善し悪しについては一概にいえない部分があるのです。

もちろん、動物性脂肪を含む食材や調味料を大量に摂取すると、生活習慣病をはじめとするさまざまな健康面の問題を生じるということに関しては、すでに繰り返して研究が行われ、科学的に証明されていることではあります。ただ、脂肪の代謝能力など、個体差があることもまた事実であり、その人にとってどのくらいの分量の動物性脂肪を摂取すればよいかという具体的な数値を大っぴらに公表するわけにはいかない部分もあるのです。

だからこそ、重要なエネルギー源であっても、動物性脂肪はできるだけ摂取しないようにするという考え方が、特に欧米圏を中心に積極的に採用されるようになってきているという背景があります。ただ、動物性脂肪を摂取しなければ生活習慣病を発症することはないのかといえば、もちろんそんなことはありえません。

動物性脂肪を摂取しないかわりに、何らかの方法でエネルギー源を確保しなければならず、その代替エネルギーが動物性脂肪と同じ、もしくは似た健康的影響を私たちにもたらしたならば、それはまったく意味がないということになります。

ですから、動物性脂肪を摂取するのが悪いということでは決してなく、どういう摂取の仕方が必要であり、また、動物性脂肪を摂取したときにはどんなケアや対処が必要になるのかということについても、しっかりと検証をしていく必要があるといえるのです。

今回は、そういった動物性脂肪の摂取が私たちに与える影響について考えていきたいと思います。そのためにも、まずは動物性脂肪の過剰摂取による生活習慣病の発症リスクなどについても、次のところでおさらいしておきたいと思います。

動物性脂肪と生活習慣病の関係について

かねてから、動物性脂肪は身体に悪い、生活習慣病の原因になるなどといった悪いイメージがあります。確かに過剰摂取によってそういった健康面でのデメリットが生じるリスクが高まることが証明されてはいますが、では、どうして動物性脂肪がそんなデメリットをもたらすことになるのかということについて、簡単に説明しておくことにします。

健康面でのデメリットおよぼす原因は飽和脂肪酸にある!

動物性脂肪と呼ばれる脂肪の中には、動物の種類によって飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸が含まれます。たとえばバターやチーズといった乳製品や赤味の肉にたくさん含まれているのが、飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸は、血管壁にへばりつくような脂肪の性質があるため、コレステロール値が上昇しやすく、動脈硬化の原因になると考えられています。

動脈硬化といえば、生活習慣病のもっとも典型的な症状のひとつで、たとえば心筋梗塞や脳梗塞といった心疾患や脳疾患が発症するリスクを高めます。バターや肉の脂といった動物性脂肪が、血液をドロドロにすることによって、健康面でさまざまなマイナスをおよぼす危険を高めるのです。

ただ、動物性脂肪というと、上記のようにバターや肉の脂などの飽和脂肪酸だけではなく、魚に含まれる不飽和脂肪酸も当てはまることになります。しかし不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸のように血管にへばりつくような性質はなく、逆に血液をサラサラにする性質があります。これが、ウワサされる魚の健康効果の高さを裏付ける根拠になるのです。

簡単ですが、以上がバターや肉の脂などの動物性脂肪(飽和脂肪酸)が、健康面でデメリットをおよぼす原因になるという事実に関する説明になります。ですから、バターや肉の脂などを過剰に摂取することが、健康面でマイナスになり、特に心疾患や脳疾患といった生活習慣病の原因になるということが、単なるうわさではないということの説明になります。

代替エネルギーは炭水化物が理想

動物性脂肪(飽和脂肪酸)を過剰に摂取することで、心疾患や脳疾患の発症リスクが高まるという事実を経て、できるだけ動物性脂肪の摂取を控えようという動きは日本にも広まっています。その動きの典型が、ひところバターに替わってマーガリンが圧倒的に高い支持を受けたというところにも現れています。

ただ、日本人の悪いところは、健康面で良くないとなると徹底してその対象を排除しようというところです。結果として、バターや肉の脂などの飽和脂肪酸の動物性脂肪をまったく食べない人が増えたというのもまた事実です。しかし、再三お話しているように、脂肪は私たちにとって重要なエネルギー源になりますので、動物性脂肪を摂取しないことで、エネルギー不足を起こす可能性が増します。

とすると、足りない分のエネルギーを補うために、別のエネルギーで動物性脂肪の分を補完する必要が生じることになります。ここで、少々間違った方法で代替エネルギーの摂取に励んでしまう人も少なくありません。代替エネルギーの問題というと、何か環境問題のお話をしているようにも感じられるかもしれませんが、私たち人間にとっても非常に重要なテーマになるのです。

白いご飯やパンと塩分で代替エネルギーを補う傾向は改めたい

バターはパンにつける一種の調味料ですし、また、ご飯は私たち日本人にとっての主食ですが、バターや肉の脂の摂取を控えようとすると、食生活にひとつの問題が生じることになります。それは、おかず不足です。おかずなしでパンだけ、ご飯だけをパクパク食べるというのもなかなか難しいものがあります。

そこで、そのおかずの代わりになるのが、塩分の強い食材ということになります。これによって、塩分摂取が過剰になってしまい、生活習慣病のリスクは結局ますます高まってしまうという傾向もときおり見られるのです。また、ご飯やパンを代替エネルギーとしてたくさん摂取するということ自体、正直あまり賛成できる食事のバランスであるとは言いがたいものがあります。

せっかくバターや肉の脂による飽和脂肪酸の動物性脂肪を控えたのであれば、代替エネルギーも正しく摂取しなければならないということが、健康のためには非常に重要になってくるのです。そのための方法を、次のところで模索していくことにします。

炭水化物と不飽和脂肪酸が代替エネルギーの理想

パンやご飯は炭水化物の代表のようにも思われがちですが、私たちが主食としている食パン(小麦粉)や白米のご飯というのは、あまりにも精製されすぎてしまっているため、主食としての適性は高いものの、代替エネルギーとしての役割は低いといわざるを得ません。つまり、パンやご飯をたくさん食べてしまうと、栄養が偏りすぎてしまうのです。

そこで、精製されていない炭水化物や不飽和脂肪酸(多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸)の動物性脂肪を、飽和脂肪酸の動物性脂肪の代替エネルギーとすることが理想と考えられます。精製されていない炭水化物というと、パンとご飯の類でいえば、たとえば玄米に代表される穀類、雑穀類になります。そして、不飽和脂肪酸の代表となると、やはり主に魚類が挙げられることになるでしょう。

これだけでは少々漠然とした話になりますので、もう少し具体的に、代替エネルギーとしてふさわしい食材、ふさわしくない食材について次のところでまとめていきます。

飽和脂肪酸の動物性脂肪の代替エネルギーとして摂取したい食材と摂取したくない食材

炭水化物にも不飽和脂肪酸にも非常に種類が豊富ですから、頭では未精製の炭水化物や不飽和脂肪酸がよいとわかっていても、具体的な食材がわかっていないと、正しく望ましい食材を摂取することが難しくなることも想定されます。そこで、ここではより具体的な食材をピックアップしていくことにします。

飽和脂肪酸の動物性脂肪の代替エネルギーとして摂取したい食材

では、炭水化物と不飽和脂肪酸に着目しつつ、飽和脂肪酸の動物性脂肪の代替エネルギーとして積極的に摂取したい食材からまずはご紹介していくことにしましょう。

  1. ①野菜類やくだもの類・・・野菜にもくだものにも、ビタミン類やミネラルが非常に豊富であるという特徴があります。したがって、代替エネルギーとして摂取することによって生活習慣病を発症するリスクが高まることは考えられず、それどころか、野菜類やくだもの類を積極的に摂取することによってむしろ生活習慣病のリスクを軽減する可能性さえ模索することができるはずです。
    また、現在すでに生活習慣病を発症している人であっても、野菜類やくだもの類であれば、基本的には心配なく摂取することができます。ただし、腎疾患を現在発症している患者さんは、野菜類、果物類の生食はほぼ禁忌となりますので、この点には十分注意が必要になります。
  2. 未精製の穀物類(全粒穀物)・・・上でもお話したように、パンは精製した小麦粉が原料であり、白米のご飯は玄米を精製したものです。代替エネルギーとして摂取が推奨されるのは、同じ穀類であっても、原料が精製されていない、全粒穀物と呼ばれる炭水化物系の食材です。全粒小麦、玄米、雑穀類がこれにあたり、代替エネルギーとして摂取が強く推奨されます。未精製の穀物類は、精製された穀物類とちがって、食物繊維、ビタミン類、そしてミネラルが豊富ですから、栄養面汚バランスを考えるとき、非常に理想的な食材であるといえます。
  3. ナッツ類・大豆製品・・・ナッツ類と大豆製品に共通するのは、植物性タンパク質が豊富であるという点です。植物性タンパク質は、飽和脂肪酸の動物性脂肪のようにコレステロールの吸収が顕著ではありません。したがって、コレステロール値の上昇の心配がない食材であるといえます。少量でも非常に高い栄養価を誇るナッツ類・大豆製品だけに、代替エネルギーとしては非常に理想的であるといえます。
  4. 魚類・・・今回のテーマになっている不飽和脂肪酸を豊富に含んでいるのが、魚類です。不飽和脂肪酸は、血管壁に付着しない性質の脂肪ですから、魚類を摂取することによって、血液はサラサラになります。
  5. 乳製品(適量を厳守!)・・・乳製品の多くには、飽和脂肪酸の動物性脂肪を含んでいますので、あまり推奨されないのではないかと考えられがちです。しかし、カルシウムをはじめとする必要な栄養素が非常に豊富であるということもまた事実ですので、適量を厳守して、積極的な摂取が推奨される食材であるといえます。チーズやヨーグルトは特に、近年健康面でのメリットが大きいと注目されている食材ですので、適量を意識しつつ、積極的に摂取していただきたいと思います。

もちろん、上記の食材を積極的に摂取していただきたいということについてはそのとおりなのですが、ただ、いろいろな食材をバランスよく摂取しつつ、上記の食材を意識的に摂取することが推奨されます。

飽和脂肪酸の動物性脂肪の代替エネルギーとして摂取を控えたい食材

それでは、今度はあまり推奨されない飽和脂肪酸の動物性脂肪の代替エネルギーとしての食材のご紹介になります。あくまでもあまり推奨されないというだけの話であって、健康な人であれば、下記の食材が禁忌されるということではありませんので、その点は注意していただきたいと思います。それでは、具体的にピックアップしていきましょう。

  1. 精製された穀物類・・・上記では、未精製の穀物類(全粒穀物)を推奨しましたが、精製された穀物類は、糖質過多の可能性が高く、大量に摂取すると血糖値を上昇させるというデメリットを生じるおそれがあります。ですから、食パンや白米のごはん、小麦粉製品などは、過剰に摂取することを控えるべきであると考える必要があります。
  2. 赤身肉ならびに加工肉製品・・・赤身の肉は、再三お話しているとおり、飽和脂肪酸の動物性脂肪が非常に豊富に含まれており、過剰に摂取することによって、コレステロール値の上昇を招くため、動脈硬化をはじめとする生活習慣病のリスクが高まることになります。特に、すでに生活習慣病を発症している患者さんは、極力これらの食材は摂取を控えることが推奨されます。また、ハムやソーセージなどに代表される加工肉製品は、場合によっては大量の塩分が含まれていますので、塩分による血圧上昇などの生活習慣病リスクが増加します。その意味でも、加工肉製品の摂取は推奨されません。
  3. 塩分・・・加工肉製品のところでお話したとおり、塩分は血圧上昇のリスクを増加させますので、生活習慣病予防の観点からは、必要最小限の摂取にとどめるべきであると判断される調味料です。また、上でもお話しましたが、塩分というのは食パンや白米のご飯などの食欲を増加させる作用がありますので、精製された穀物類の過剰摂取にもつながります。ナトリウムという栄養素が人間にとって不要というわけではありませんが、過剰摂取だけは絶対に控えなければならない栄養素であるということは、忘れないでいただきたいと思います。

ということで、今回は飽和脂肪酸の動物性脂肪の過剰摂取への警告と、その代替エネルギーとして摂取が推奨される食材、また、推奨されない食材についてお話をしてきました。生活習慣病をすでに発症している患者さんはもちろん、今後生活習慣病のリスクを感じている人、そして、現在そのリスクは小さくても、将来的に生活習慣病を予防したい人も、今回のテーマはぜひ頭にとどめておいていただきたいと思います。

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