強い痛みには要警戒!狭心症を予防・治療するための生活習慣とは

生活習慣病の症状、予防方法、治療方法、データを知り、生活習慣病と向き合いましょう!
    

今後罹患者が増えそうな狭心症について

狭心症は、非常に強い痛みを伴う心疾患で、心臓病の中では代表的な症状であるといえます。心臓病にもいろいろな疾病がありますが、狭心症は、心筋梗塞と並ぶ生活習慣病のひとつであると考えられています。そして、症状が発症するプロセスも、心筋梗塞と似通っています。というのも、狭心症も心筋梗塞も、心筋に流れ込む際に血液が通る冠動脈と呼ばれる動脈に梗塞(血管の閉塞や狭窄)が起こるという点で共通する症状だからです。

一方で、心筋梗塞とは違い、狭心症の発症例は徐々にですが減少傾向にあります。ただ、狭心症も心筋梗塞も、高齢になるにつれて発症リスクが高まる心疾患であるため、高齢化社会が進行することが確実な日本では、狭心症患者が今後再び増えないとも限りません。むしろ今後は増加に転じると考えるほうが自然でしょう。

狭心症は、心筋梗塞ほど発症死亡率が高い疾患ではありませんが、心臓の病気である以上、死の危険を伴う病気であることは間違いありません。そんな怖い病気ですから、今回その症状の概要や予防、治療の方法について考えていくことにします。

狭心症の病態について

心臓は心筋と呼ばれる筋肉細胞によって組織されています。心臓の機能としては、血液を全身に送りだすことですが、細胞組織である以上、心臓自身にも血液が送られなければなりません。その重要な役割を担う血管が、血液が通って心臓に流れ込む冠動脈です。冠動脈に梗塞が起こることで、必要な血液が心筋に届かないことが原因で発症する疾患です。

心筋梗塞と狭心症との違いは、簡潔に説明するならば、心筋梗塞が冠動脈で完全に血流が止まってしまう疾患であるのに対し、狭心症は冠動脈で血流が少なくなる疾患、ということになります。それだけ心筋梗塞のほうが心筋細胞に与えるダメージが大きくなり、致死率は高くなります。とはいえ、狭心症の発作で死に至ることも十分考えられます。

狭心症にしても心筋梗塞にしても、発症と同時に心臓付近の激しい痛みが発せられることが多いのが特徴です。この痛みは、血液の不足によって心筋細胞が酸欠を起こしているために発生します。また、痛みはそこまで大きくならず、不快感や胸部の強い違和感を伴う狭心症もあります。痛みは大きくなくても、発作であることには変わりありませんので、胸部に違和感を覚えたらすぐに救急車を呼ぶなどの対処が必要になります。

また、狭心症や心筋梗塞のように、冠動脈のトラブルによって発症する心疾患を、特に冠性心疾患と呼び、他の心疾患と区別されることが多いです。また、冠動脈のトラブルにより、血液不足による酸欠が発症するタイプの心疾患を、虚血性心疾患と呼びます。つまり、狭心症や心筋梗塞は冠性心疾患でもあり、虚血性心疾患でもあります。

狭心症の発作は、心臓の動きが活発になるタイミングで起こりやすいと考えられます。つまり、心拍数が上昇することで発症しやすい発作です。心臓の動きが活発になると、心筋は普段よりも多くの血液を必要とします。ところが、冠動脈の血流が正常ではないため、心筋にとり込まれる血液の量が相対的に不足することになります。その結果、狭心症の発作を発症することになります。心拍数の上昇によって発症する狭心症を、労作性狭心症と呼びます。

労作性狭心症の診断を受けている患者さんは、入浴や激しい運動などの心拍数の上昇を伴う動作を行う際には、十分な警戒が必要になります。

狭心症の原因

狭心症の原因はいろいろ考えられます。また、その原因によって狭心症のタイプが異なることが多いです。ここでは狭心症の原因について考察します。

狭心症は動脈硬化が原因であることが多い

狭心症の最大の原因となるのが動脈硬化です。動脈硬化は、動脈血管が硬化することによって、血管内膜が損傷しやすくなる病気です。動脈血管の内膜が損傷すると、血管壁内に染み込んだ血液に含まれるコレステロールに対し、白血球が攻撃を仕掛けます。その際に残るコレステロール細胞の残骸が蓄積し、その部分に新たなコレステロールが次々と付着しやすくなります。

この現象が冠動脈で起こり、冠動脈の血流に異常が生じます。その結果発症するのが狭心症であり、さらに症状が悪化すると心筋梗塞を発症します。つまり、動脈硬化が起こらなければ狭心症が起こる確率は大きく低下します。このことから、動脈硬化が狭心症の最大の原因であると考えられるのです。

動脈硬化以外の原因で発症する狭心症

動脈硬化以外の原因で狭心症の発作が起こるのは、冠動脈が細くなってしまっているという理由が考えられます。先天的な理由で冠動脈が通常よりも細い人や、冠動脈がけいれんを起こしたりすることによって、心臓に流れ込む血液の量が不足し、狭心症の発作を発症します。冠動脈の細さが主な原因になっている狭心症を、安静時狭心症と呼びます。

狭心症の予防方法と治療方法

狭心症は、発症のプロセスが心筋梗塞と似ていることが多いです。ただ、心筋梗塞と比べると、死亡率自体はそこまで高くありません。しかし、狭心症を悪化させることで、心筋梗塞に発展するケースも多いです。ですから、狭心症の診断を受けたらすぐに治療を受ける必要があります。

また、死亡リスクが高い心筋梗塞へと発展する危険を伴う狭心症ですから、まずは狭心症自体をしっかりと予防することが重要になってきます。そこで今回は、狭心症の予防方法と治療方法について考察します。

狭心症の予防方法について

特に労作性狭心症の場合、冠動脈に動脈硬化が見られるケースが圧倒的に多いということで、まずはこの動脈硬化を進行させないという考え方が重要です。そのためには、基本的には生活習慣を見直し、必要に応じて改善していくことが重要であるということが間違いなく言えます。

冠動脈に動脈硬化が起こっているということは、その時点で、たとえば高血圧、脂質異常症、肥満やメタボリックシンドロームなどの、別の生活習慣病が起こっている可能性が高いです。まずはこれらの生活習慣病を予防・改善するための生活習慣を身に着けることが何よりも重要です。

たとえば、塩分を控えた食生活を送る、禁煙する、アルコール摂取を制限するなどといった方法が、狭心症の予防方法としては適切です。また、一般的には運動不足の解消が生活習慣病の重要事項になりますが、特に労作性狭心症の場合、心拍数の上昇にともなう発作の発症のリスクが上昇しますので、運動に関しては、医師と協議して可否を決定してください。そして、運動する際には十分に警戒して行ってください。

次に、安静時狭心症の場合についてですが、このタイプの狭心症は、睡眠中にも発作が起こることがあるだけに、発作が起こらないようにするといった対症療法的な予防、そして治療が必要になります。

狭心症の治療方法について

狭心症の場合、心筋梗塞と同じように、発作に対応できるような薬がすでに開発されています。狭心症に罹患している患者さんは、常備薬としてそういった薬を常に携帯しておくことが大切です。

また、労作性狭心症と安静狭心症とそれぞれについて、対処・治療方法が多少異なりますので、それぞれ治療方法を考えていくことにします。

労作性狭心症の治療方法について

労作性狭心症の治療は、上記でお話した予防の延長のイメージで行います。つまり、動脈硬化の治療、もしくは予防が労作性狭心症の治療ということになります。また、万一労作性狭心症の発作に見舞われてしまった場合には、これに対応できる発作薬がありますので、その薬を飲むという形で発作を回避することになります。

労作性狭心症の場合、冠動脈の動脈硬化によって心筋に流れ込む血液量が不足していることで発症する発作ですから、血液をたくさん流しこんであげるという対処が必要になります。そのためには、狭まってしまっている冠動脈の拡張が見込める発作薬が必要になります。その成分として、ダイナマイトでおなじみのニトログリセリンが挙げられます。

近年では、発作が起こった際の対応ではなく、発作を未然に防ぐための予防薬にも良いものが出ています。予防とはいっても、特別な効果を発揮するというわけではないのですが、要は、冠動脈の拡張効果を長続きさせるという効能を発揮する薬が、発作を事前に回避する効果がある予防薬として、非常に役立つ薬です。発作を伴う病気の場合、予防的な方向で行う処置も、治療の一環であると考えられるのです。

また近年では、冠動脈を拡張するための金属を入れる血管バイパス手術を行うことによって、冠動脈の安定的な血流を確保するという治療方法が採用されることも多くなってきています。この方法であれば、心拍数が上がっても、心筋への血流が不足するリスクは大幅に軽減されます。ですから、労作性狭心症の治療方法としては、多少大掛かりにはなりますが、効果は非常に大きいといえるでしょう。

安静時狭心症の治療方法について

安静時狭心症の治療についても、上記の労作性狭心症の治療方法に似ているところがあります。どちらも狭心症という病気なので、共通する部分については同じ手法を治療として採用します。ただし、安静時狭心症が労作性狭心症と大きく異なる部分もあります。それは、労作性狭心症に比べて動脈硬化が原因で発症する安静時狭心症は少ないということです。そのため、治療や発作の予防に用いる薬のタイプが異なります。

安静狭心症の場合、万一の発作に備えて、舌下薬を使用することが多いです。舌下薬の成分も、労作性狭心症と同様ニトログリセリンである場合が多いです。ただし、舌下薬は、誤って嚥下しないことが重要です。というのも、嚥下してしまうと、ニトログリセリンの即効性が失われてしまうからです。あくまでも舌下でニトログリセリンの効果を発揮することが重要です。

安静狭心症の場合、基本的には舌下薬で発作を回避することができます。ただし、まれに発作が改善されないこともありますので、そういう場合は、もう一度舌下薬をトライしてみてください。これで発作が回避できるはずです。

ただし、まれにそれでも発作がおさまらない可能性もわずかに残ります。その場合は、迷わず救急車を呼んで緊急対応をすることが重要です。舌下薬で効果が表れない場合、狭心症とは別の心疾患を発症している可能性があります。薬効がないときにはとにかく緊急を要すると考えるべきです。

今回は狭心症についてお話をしてきました。狭心症の場合、イメージ以上に死亡リスクの高い病気です。そして痛みを伴う発作が起こる病気ですから、発作の際には落ち着いて対処することが何より大切です。万一の際には慌てず冷静に対処していただきたいと思います。緊急を要するからこそ、パニックに陥らないことが重要です。

Top