長時間労働とアルコール摂取量との間には意外な関係があった!

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長時間労働の傾向が強いとアルコール摂取量が増える!?

長時間労働がライフワークに組み込まれている人ほど、アルコールの摂取量が増加するという傾向があることが明らかになりました。こういった種類の調査はたいていアメリカが他国に先んじて行われることが多いですが、長時間労働とアルコール摂取量の関係に関する調査は、日本でのデータも含まれており、信憑性は高いといえます。

何かと忙しい現代人にとって、長時間労働をしなければならない立場にある人は少なくありません。しかし、アルコールの摂取量に関しては、その人の意思によって決まるはずですから、一見労働時間とアルコール摂取量との間にはあまり関係がないように感じられるはずです。

ところが、調査の結果は、そういった推測が完全に覆されるデータになりました。では、なぜ長時間労働がアルコールの摂取量を増加させることになるのでしょうか?このカラクリについて、今回はお話していきたいと思います。

公開された実際の調査データ

長時間労働とアルコール摂取量の関係を調査したのは、アメリカのある研究機関です。そして研究対象になったのは、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリアなど先進国を主要とする14か国にのぼりました。そして、その中に私たちの日本も含まれています。

データから得られた結果は、長時間労働を行う人ほど、危険な摂取量のアルコールを摂取するリスクが高まるというものでした。ここで、まずは長時間労働、そして危険な摂取量というふたつのキーワードについて、しっかりと定義づけをしておくことにします。

今回の調査では、週48時間以上の労働を長時間労働、そして男性の21ドリンク以上、女性の14ドリンク以上のアルコール摂取を危険な摂取量と、それぞれ定義します。ちなみに、1ドリンクというのは、アルコール摂取量が10gになる飲用を指します。ですから、たとえば30gのアルコール摂取量となる飲用で3ドリンクと数えることになります。

さて、この定義のもとで改めて調査結果を確認してみますと、週48時間以上の長時間労働をしている人は、週21ドリンク以上(女性は14ドリンク以上)のアルコールを摂取する傾向にある、というものでした。

詳細のデータ分析により、週48時間を超える労働をすることによって、危険な摂取量のアルコールを摂取するリスクが11%上昇するということがわかりました。さらに、危険な摂取量のアルコール摂取が習慣化されるリスクにまで調査結果では言及しています。週49~54時間労働する人は、週35~40時間労働する人よりも13%のリスク上昇が見られ、さらに週54時間以上働く人は、12%のリスク上昇が見られることがわかりました。

飲酒習慣がある人なら、アルコール摂取量が肝臓をはじめとした私たちの健康に与える害を大きくすることは、すでにご存知かと思います。ですから飲酒習慣がある人にとって、そして長時間労働がライフワークであるという人にとっては、上記の調査結果は非常にリスキーであると感じたことと思います。

そこで重要なことは、いかに対策を講じるかということです。より良い対策を講じるためにも、まずは、なぜ長時間労働によってアルコール摂取量の増加のリスクを招くのか、という理由を知ることが重要であるはずです。

長時間労働がアルコール摂取量を増加させる理由

長時間労働がアルコール摂取量を増加させる最大の理由は、長時間労働というよりも、むしろアルコールの特性のほうにあると感じられます。というのも、アルコール摂取による作用がもたらすのは、リラックスと高揚感という精神的な側面が非常に大きいからです。つまり、長時間労働によって少なからず蓄積したストレスを、アルコール摂取によって発散しているように感じさせる効果が、アルコールにはあるのです。

このことが、長時間労働がアルコール摂取量を増加させる最大の理由であるといえます。長時間労働でなければ、所定の時間どおり働いただけであると脳が判断するため、身体的な疲労はともかく、感じるストレスの大きさはそこまで大きくなりません。しかし、長時間労働によって強いられたストレスを発散したいという気持ちが、アルコール摂取の欲求を発動させると考えられるのです。

人はなぜストレスをお酒で発散したいのか

ストレスを発散する方法は、飲酒以外にもいろいろあります。たとえば、身体を動かすことはストレス発散の効果が絶大であることなどはよく知られています。単にストレスを発散する効果だけにとどまらず、健康面でのメリットも小さくありません。そもそも、アルコール以外にストレス発散の手段がないなら、お酒が飲めない人はストレスを発散することなど不可能になってしまいます。しかし実際にはそんなことはありません、では、人はなぜアルコールによってストレスを発散させたがるのでしょうか?

実は、アルコールを摂取することによって、ドーパミンと呼ばれる神経伝達物質が分泌されることが知られており、これが飲酒欲求と関係していると思われます。ドーパミンは、分泌されると楽しさや心地よさをともなう物質です。お酒を飲んで楽しいという気持ちになり、心地よさを感じることは、お酒を飲む人なら誰でも知っているはずです。

飲酒によるそうした楽しさや心地よさを感じる経験を繰り返すことで、飲酒によってストレスが発散されることが経験則となり、ストレスを感じるとお酒を飲みたいという欲求に駆られることになります。これが、私たちがお酒でストレスを発散したいと考える理由です。

生活習慣病は、ストレスの蓄積が非常に大きく関係していると考えられています。お酒を飲んでドーパミンの分泌を利用してストレスを発散できるのであれば、もしかしたら生活習慣病の予防に飲酒習慣を利用できるかもしれません。実際、酒は百薬の長ということばもありますので、お酒を飲むこと自体は決して悪いことではないはずです。

ただ、飲酒習慣は健康面でリスクをともなうことも事実です。ドーパミンの作用が強すぎれば、アルコール依存症というおそろしい病気にかかってしまうリスクも生じます。ですから、あくまでも上手にアルコールを利用することが大切であるということを忘れるべきではありません。

長時間労働をすることによって、ストレスがたまってしまうのは仕方がないことです。そして、ストレスが人体に及ぼす悪影響を考えると、何らかの方法でストレスを発散しなければならないという考え方も正しいはずです。しかも、できるだけ早い段階でストレスを発散したほうがよいことも間違いないでしょう。

そのためにアルコール摂取という方法を利用すること自体悪くはありません。ただ、長時間労働のストレスをお酒で晴らすのであれば、かなり上手な飲酒習慣を身に着ける必要があるということも間違いないでしょう。とにかく、健康を害するような過剰なアルコール摂取にだけは、どんなことがあっても控えるべきです。

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