お酒が大好きな人は要注意!アルコール性肝疾患は危険な習慣病!

生活習慣病の症状、予防方法、治療方法、データを知り、生活習慣病と向き合いましょう!
    

肝臓の役割とアルコールの関係

アルコール性肝疾患という生活習慣病についてお話していく前に、予備知識として、まずは肝臓がどういった役割を果たす器官であるのか、そしてアルコールと肝臓は、どのような関係にあるのかを説明していきます。

肝臓は、人間の臓器の中では非常に大きな臓器です。それだけに、実にいろいろな働きを担っているのですが、アルコール性肝疾患(特にアルコール性肝炎)とのかかわりがある働きに限定して説明するなら、肝臓の働きは、代謝と解毒です。代謝というのは、肝臓に送り込まれてきた物質を別の物質に変換するというイメージです。肝機能における代謝はいわば、解毒のための準備ということになります。解毒は、有害な物質を無害化し、その後その物質が循環することで悪影響を与えないようにするための作用です。

お酒を飲むと、アルコールが分解されて生成されるアセトアルデヒドという物質が肝臓で酢酸に代謝されます。アセトアルデヒドは有毒な物質で、酢酸は無毒な物質ですから、肝臓がアルコール代謝による解毒の働きをこのときにこなしたことになります。ですから、もし肝臓という臓器がない、あるいは、あったとしても正常に肝臓としての機能を発揮しないとしたら、私たちはアルコールを摂取することによって、必ず有毒物質のアセトアルデヒドに害されてしまうことになります。

つまり、私たちがおいしいお酒を日々飲むことができるのも、ひとえに肝臓のおかげであるといえるのです。しかしそうはいっても、肝臓だって機械ではなく生体ですから、酷使すれば疲れも出ますし、病気にもなります。そして、そうした病気の最も典型的な症状が、アルコール性肝炎をはじめとするアルコール性肝疾患と呼ばれる生活習慣病なのです。

アルコール性肝疾患の病態

肝臓は、いろいろな栄養素の代謝を行う臓器ですから、私たちの身体にとって本来不要であるはずのアルコール代謝も行います。本来不要であるというのは、アルコールが嗜好品と呼ばれることからもご理解いただけるでしょう。アルコール代謝というよりは、厳密に言えばアルコール分解によって生成された有毒のアセトアルデヒドを代謝・解毒する働きすべてを肝臓が一手に担います。

しかし、肝臓は生体ですから、一度に解毒できるアセトアルデヒドの量は(人によって)決まっています。ですから、飲みすぎという状況もお酒を飲む人によって異なります。アルコール摂取量で決まるのではなく、その人の(肝臓の)アルコール代謝能力によって飲みすぎかどうかが決まります。

飲みすぎの状態では、完全にアセトアルデヒドが代謝・解毒されないという事態が起こる可能性が高くなります。もちろんふつうであれば、1日や2日その状況が起こったとしても、肝臓は問題なく代謝・解毒といった機能をちゃんと果たします。しかし過剰なアセトアルデヒド代謝(要するに、飲みすぎ)が慢性的な状況になることで、肝臓そのものが代謝しきれていないアセトアルデヒドに毒されてしまうことになります。

それが生活習慣病の形で血液検査の数値として現れているのが、アルコール性脂肪肝です。脂肪肝に関しては、もちろんアルコールだけが原因ではないのですが、しかしアルコール摂取が習慣化している人は、やはりアルコール性脂肪肝を発症しやすくなります。そして、アルコール性脂肪肝を発症しても引き続きアルコールを摂取し続けることによって、症状がさらに進行したアルコール性肝炎を発症することになります。

アルコール性脂肪肝を発症しても、基本的にはほぼ自覚症状が出ないため、知らず知らずのうちに肝臓の状態が悪化しやすいです。結果的にアルコール性肝炎をはじめとするアルコール性肝疾患を発症してしまうことが多いです。ですから、少なくとも飲酒習慣がある人は、アルコール性肝疾患には十分注意しなければなりません。

アルコール性脂肪肝からアルコール性肝炎に移行したとしても、非常に怖いのは、特に初期的段階ではほとんど症状が表れないというところです。したがって、アルコール性肝炎を発症していても、さらに引き続いてお酒を飲み続けてしまい、アルコール性肝疾患はまたさらに悪化の一途をたどってしまうこともあるのです。

アルコール性肝疾患が進行すると、事態は徐々に深刻化します。アルコール性肝炎からやがて肝硬変を発症し、さらに肝不全や肝臓がんといった、極めて重篤な病気を発症するリスクが高くなるのです。

アルコール性肝疾患の予防方法と治療方法

アルコール性肝疾患は、その病名からも想像できるように、アルコール摂取によってのみ起こる症状です。予防にしても治療にしても、方向性はすぐに決まります。もちろん、それが簡単なことではないということは、お酒が好きな人なら誰もが理解できるところであるとは思います。ということで、まずは予防方法から見ていきましょう。

アルコール性肝疾患の予防方法について

アルコール性肝疾患は、ふだんから飲酒の習慣がある人が予防すべき生活習慣病であるということが大前提となります。アルコール性肝疾患は、アルコール摂取の習慣によって引き起こされる生活習慣病です。ですから、ふだんお酒は飲まないという人なら、よほど特殊な事情がない限り、アルコール性肝疾患の危険にさらされることはありえません。しかし、少量であってもお酒を習慣的に飲むという人であれば、誰もがアルコール性肝疾患を発症するリスクが発生しますので、注意が必要になります。

アルコール性肝炎の最大の予防方法は、お酒好きの人にとっては厳しい指摘になると思いますが、要するに、お酒を飲まなければよいということになります。ただ、現状はまだ肝臓がどこも悪くないのに、好きなお酒を飲まないでガマンするというのも、どこか本末転倒な気がします。そういうときには、休肝日をつくってあげるという考え方が、アルコール性肝炎の予防法としては非常に重要になってきます。

毎日のアルコール摂取量(飲酒量)を減らすことも重要ですが、少量でもアルコールを摂取すれば、肝臓はアルコール代謝(アセトアルデヒド代謝)のために働かなければなりませんので、飲酒をする際の飲酒量・アルコール摂取量を減らすことと同時に、アルコールは一滴も摂取しない休肝日を週に2~3日、最低でもつくってあげるという考え方が、アルコール性肝疾患の予防としてはベストの選択であるといえます。

ちなみに、アルコール性肝疾患にかかりやすい飲酒量は、アルコールの量が習慣的に20mL以上であるということが、さまざまなデータから導かれています。

アルコール性肝疾患の治療方法について

アルコール性脂肪肝とはいっても、アルコール摂取を控えることによって、肝臓は元通りになることが多いです。つまり、代謝しきれなかったアセトアルデヒドをしっかりと代謝し、長年アセトアルデヒドによってダメージを受けて損傷した部分が改善するのを待つまでアルコール摂取を控えれば、肝臓は自然治癒力で元通りに回復することができるのです。

しかし、アルコール性肝炎のレベルにまで悪化してしまうと、完治が難しいとされるのが一般的です。完全に禁酒することができれば、自然治癒の可能性がわずかに残るかもしれませんが、アルコール性肝炎のレベルまで肝臓を悪化させてしまう人の場合、アルコールから離れるのは多くの場合難しいです。ですから、アルコール摂取量を減らし(20mL未満にする)、休肝日を多く(週に4~5日)挟みながら進行を食い止めるという考え方が重要になってきます。

また、アルコール性肝炎がすでにかなり進行してしまっているという患者さんの場合、それ以上の進行を防ぐため、投薬治療を行ったり、あるいは入院して徹底的な治療が必要になったりというケースも想定されます。もちろんそのレベルでは完全禁酒が必須です。ですからそのレベルにまでアルコール性肝炎を悪化させないことが非常に重要になります。

ちなみに、アルコール性肝炎が悪化すると、劇症肝炎、肝硬変、肝不全、肝臓がんなど、どれも直接命の危険の可能性が強いステージへと移行します。自覚症状が出ないアルコール性肝炎ではあっても、肝炎を発症した時点で、死の影がチラついている状況であるということは、しっかり認識しておいていただきたいと思います。

そして、アルコールへの依存度が高くなってしまうと、そういう状況になってもなお、アルコールなしでは生きていけない(つまり、死という選択肢しか残されていない)という最悪のケースに直面することも決して珍しいことではありません。そのあたりのことについても、元気なうちに少しは考えておきたいところです。お酒が好きな人なら、誰もがたどるかもしれない道ですから、そういう意識の向け方は非常に大切なのです。

さて、ここまではアルコール性肝疾患についてお話してきました。まずは、アルコール性肝疾患が、飲酒習慣による生活習慣病であること、そして、自覚症状がほとんど出ないという特徴があるため悪化しやすいこと、さらに、お酒が好きな人であれば誰でも発症するリスクがある生活習慣病であることを、しっかりと認識していただきたいと思います。

また、アルコール性脂肪肝のレベルよりもワンランク悪化しているのがアルコール性肝炎であり、肝炎を発症すると、命の危険が見え隠れするステージにすでに差し掛かっているということも、しっかり理解していただきたいと思います。

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